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青春

水槽の中

「水槽」という言葉が何とも言えない感覚に陥る。本書の話は高校生4人が織りなす物語であるのだが、その物語は複雑に入り交じって、息の仕方が分からないほどの苦しさがあり、なおかつ狭い世界のなかで入り交じることによって「水槽」と見立てられるようなことも考えられる。 高校生は思春期の先の「青年期」にあるのだが、まだまだ悩み多き時期であり、なおかつ高校と家族などのなかでの人間関係を織りなす様なことが多くある。 […]

キネマトグラフィカ

私自身は長らく映画館に行ったことがないため、今映画館で上映されているものはと言ってもメディアで出ているものまでしか分からない。ただよく聞くのは最近では3Dや4Dといた技術だけでなく、触覚や嗅覚などの疑似体験ができるようにまでなったとも言われているほどである。映画でそういった体験ができるのであれば行ってみたいとも考えてしまう。 その映画館は現在デジタル技術を用いて上映しているのだが、かつては映画用の […]

午前三時のサヨナラ・ゲーム

人間関係の在り方はある種「万華鏡」のように移ろう。しかしその移ろいのなかでミステリーになるような要素もあれば、コメディになるような要素もある。その万華鏡のような人間模様を連作として取り上げている短編集が本書である。 もっともその連作は、タイトルからして「野球」に見立てている。なかでも「10.8」や「10.19」など昭和・平成の野球史の中に残る試合も引き合いに出しているところもあれば、作中の物語にも […]

バビロンの階段

大学もバイトも辞めてニートになり、人間関係も全てリセットとなってしまったある男が、偶然親友と出会った。しかしその親友は出会った後に貨物列車に引かれて帰らぬ人となった。一見事故のように見えて、実は殺人事件だったのだが、その犯人と謎はいったい何なのか、周囲の人々と遭遇し、利用していくことによって、事件のキーワードとなる「バビロン」に出会う。 果たして「バビロン」とはどのようなもので、死んだ親友は「バビ […]

ぼくはきっとやさしい

今から10年ほど前に「草食系男子」と言う言葉が生まれた。それに派生され、「○○系男子」が次々と出てきており、本書で紹介されるような「無気力系男子」もまたその一つである。 無気力になる原因は人それぞれであり、一概には言えないのだが、本書の主人公が無気力になった要因として「コンプレックス」がある。体格が大きくなってしまったことから、周囲から怖がられたこと、それを強くネガティブに捉えてしまい、気力を失い […]

「ハッピーな部活」のつくり方

ここ最近、「部活動」に関する議論を激しさを増している。とくに子どもだけでなく、教師の側から「働き方改革」における部活動時間の削減といった風潮も強くある。それだけでなく、体罰などの温床になり、極論から「部活動を廃止した方が良い」といった意見さえもある。 そこで考えておきたいのが「部活動とは何か?」である。原点を考えていく中で、本当の意味での「部活動」とは何かと、生徒も先生もWin-Winになるような […]

セブンズ!

いよいよ9月20日から「ラグビーワールドカップ2019」が開催される。私がよく行く所でも、ラグビーワールドカップに関するPRが盛んに行われており、全国12会場で熱戦が行われる。そのことを考えると「今、ラグビーが熱い」という言葉が似合うほどである。 よくあるラグビーの試合は1チーム15人(通称:フィフティーン)が有名であるのだが、これは「ラグビーユニオン」と称されている。他にも13人制の「ラグビーリ […]

岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!!

大阪府岸和田市と言えば「岸和田だんじり祭」に代表されるところとしても知られており、子どもにあったやんちゃさがそのまま大人になった男たちが多くいるという。もっともそれを象徴づける作品として本書のシリーズである「岸和田少年愚連隊」がある。 ちなみに本書はその頂点に立った男が死んだという所から物語は始まる。「全身武器」といわれ、まず死ぬような男ではない人がなぜ死んだのか、その男の死を知った中学生はどのよ […]

私はあなたの瞳の林檎

初恋はいつの世も甘酸っぱいものが多い。その初恋の年代が若ければ若いほど、その度合いが強まってくる。本書も例外なく、その甘酸っぱさを余すところなく描いている小説である。その初恋を全部で3編取り上げられている。 中でも甘酸っぱさを際立たせたのが、本書の表題作である。ある男の子に初恋してしまい、告白をするのだが、その男の子は軽くあしらわれてしまう。しかしながらその主人公は諦めきれず、再び告白をしようとす […]

ヒーロー!

思春期や青年期の時代は何かとバカをやりたがってしまうことがある。心が揺り動くようなことがある。そういった「バカ」さ加減によってはドラマのネタになるようなことも少なくない。 本書で取り上げるヒーローもまたあたかもパフォーマンスのようなことまでしでかしてしまうようなイメージでありそうだが、ヒーローバカでありつつもいじめっ子と戦うような正義と悪の戦いの構図を高校を舞台にして描いている。 高校生ならではの […]