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インターナショナル新書

熊楠と幽霊

昭和・平成・令和と生きた「知の巨人」というと、昨年4月に逝去した立花隆がいる。ジャーナリストなどの側面を持っていることから政治的なイメージも強いのだが、実は哲学・生物学などありとあらゆる分野に精通し、なおかつ知的欲求も旺盛だった。 そしてその「知の巨人」は過去にもおり、本書で紹介する南方熊楠(みなかたくまぐす)も明治から昭和初期にかけて活躍した「知の巨人」である。南方熊楠は博物学・生物学・民俗学の […]

松本隆のことばの力

松本隆は元々はっぴいえんどの元ドラマーであったことからミュージシャンであったが、1971年から作詞および音楽プロデュース活動を行い、これまで数多もの曲を作詞してきた。先の通り、昨年松本隆は作詞活動50周年の節目を迎え、トリビュートアルバムやオフィシャルプロジェクトも次々と開催された。 この50年の中で日本の歌謡曲、後にJ-POPの根幹を支えてきたのは言うまでもない。本書は作詞活動50周年を記念し、 […]

カミュ伝

小説「異邦人」やエッセイ「不条理」はもちろんのこと、演劇として「カリギュラ」「誤解」といった作品をも生み出していったフランス文学の代表的人物の一人にまで上り詰めたアルベール・カミュ。栄華も極めており1957年にノーベル文学賞を受賞したことでも知られている。 1960年に交通事故で逝去したが、その後もいくつか話題となった。特に2020年あたりから続く新型コロナウイルスの感染拡大において、小説「ペスト […]

ウンチ化石学入門

本書のタイトルを見て「クソの役にもたたない」と思っていたら大間違いである。その時代で生きている動物たちはどのようなものを食べてきたのか、そして生物そのものの生態や歴史を知ることができ、蘊蓄(ウンチく)を学ぶことができる一冊である。 第一章「生痕化石とは何か?」 もっともウンチの化石も存在しており、それを総称して「生痕(せいこん)化石」と呼ばれている。「生痕化石」とは、 古生物の行動の痕跡が地層中に […]

何が食べたいの、日本人? 平成・令和食ブーム総ざらい

食に関する進化は時代と共に進んでおり、特に食に関しての「ブーム」も度々起こる。ここ最近では去ったのだが、「タピオカ大ブーム」が起こり、至る所でタピオカの専門店ができた事は記憶に新しく、またさらに最近ではだんだんと閉店していると言うのもある。 色々な時代で食に関するブームが出てくることがあるのだが、本書は平成・令和といった32年の歴史のなかで、どのようなブームがあり、時代を築いていったのかについてを […]

老化と脳科学

人間は年を取っていくと、ありとあらゆる所が老化する。その老化について、本書では「脳」における老化の傾向について脳科学の立場から取り上げている。 第1章「脳と記憶」 本書にて重点的に取り上げられているのが、記憶を司る「海馬」と呼ばれる部分である。例外なく老化により衰えるのだが、その衰え方によってはアルツハイマー病や認知症と言ったものを引き起こす要因にもなる。そのため本章ではまず基礎編として脳の機能と […]

危険な「美学」

「美学」と言うとセンスや雅といった表現が用いられる。もちろんその美学を通して、感性が伝わり、私たちに届けられる要素がある。しかしその美学は「危険」と隣り合わせである。縁遠いように思えるのだが、実はモノ・コトの善悪を判別しづらくなり、善悪つきにくくなり、取り返しのつかないことになるのだという。そもそも美学とは何か、そして美学におけるリスクとは何か、本書ではそのことについて論じている。 第一部「美は眩 […]

怪獣生物学入門

何とも奇妙な生物学である。 元々怪獣というと、ゴジラやガメラなど創作の中で生まれた存在であり、空想の生き物である。しかしながら著者はそれを生物学的に考察を行うことを試みたという。もっとも身体的な特徴は実物を見たり、時には解剖したり、と言ったことがあるのだが、ただ一つ思いつくものとして「「進撃の巨人」と解剖学 その筋肉はいかに描かれたか」で書評を行った時に巨人たちの筋肉を解剖するというものがあったが […]

新・冒険論

冒険には必ずと言ってもいいほど「リスク」がつきものである。そのリスクを受け入れながら、新しいこと、あるいは独創的なことに挑むことは登山にしても、普段の仕事にしても変わりない(もちろん程度の違いはあるのだが)。 本書はチベット峡谷踏破や北極圏の80日間の極夜行など誰もが思いつかなかった冒険を行ってきた著者が冒険の本質について取り上げている。 第一章「本多勝一の冒険論」 ジャーナリストの本多勝一は時事 […]

AIに心は宿るのか

AIの技術は目覚ましく、最近では将棋・囲碁などの世界でも人間を凌駕するようになってきた。そのことによって技術革新が行われている。さらに言うと最近に至っては小説もAIによってつくられ、星新一賞の審査に通過したことが挙げられる。本書はそもそも「AI」の技術はどこまで進化するのか、そしてその技術には「心」が宿るのか、その本質を迫っている。 第1章「“AI作家”は、生まれるのか」 冒頭にも書いたのだが、A […]