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ショートショート

ふりかえる日、日―めいのレッスン

物語は、突然の出来事などから起こることもあれば、何気ない日常からも生まれる。特に何気ない日常の中にも多少なりの「変化」があるのだが、その「変化」のあり方が、日々の物語を紡いで行く。 本書は主人公の姪が日々触れるあらゆるものに耳を澄ませて成長して行くと言うものである。五感のうちの「聴覚」によって春夏秋冬を描き、なおかつ物語として織りなしていく所に魅力がある。 ショートショート形式にて描かれており、タ […]

静かな終末

2019年11月に逝去したSF小説の大家が残したショートショートのうち、本書は選りすぐりで50編収録している。 ちなみに収録されているショートショートの内容というと、SF作品と言うよりも日常的なものもあれば、日常的でありながらもナンセンスなタッチでつくられているもの。もっと言うとSFと、本当の意味で「多種多様」と言う言葉がよく似合う。 元々SF作品の大家であるが、それだけでなく、長編作品を生み出す […]

ぐるり

人の生きる道も季節と同じように、ぐるりと巡る。それは人の出会い・別れもまた同じようなものなのかもしれない。その人との出会い・別れ、さらにはすれ違いなどの交錯がふんだんに盛り込まれている小説集の一冊である。短編集のようにも見えるのだが、短い作品もふんだんに盛り込まれているため、どちらかというとショートショートと言える。 実は著者自身作家であるものの、作詞家、バンドミュージシャン、ラジオパーソナリティ […]

余命3000文字

本書は表題作を含めて、数多くの作品を収録しているショートショート集である。特に冒頭の「余命3000文字」は文字数もカウントされており、なおかつ3000文字の中で物語を見事に描かれている所に驚きがあった。また他にも「彼氏がサバ缶になった」などナンセンスのものから、「食べログ1.8のラーメン屋」などリアリティがあるようでいて、風刺が効いている作品(むしろ小噺というべきか)まで収録されている。 小説にな […]

おとぎカンパニー 妖怪編

明けましておめでとうございます。本年も「蔵前トラックⅢ」をどうぞよろしくお願いいたします。 新年最初の書評はこちらです。 —- 本書はタイトルにある「おとぎカンパニー」三部作の3つ目にあたる一冊である。おとぎ話に出てくるキャラクターが会社を構えて、活動を行うというようなショートショートと呼ばれる一冊であるが、本書は「妖怪編」のため、古今東西の妖怪たちが会社をつくって活動をするというもの […]

百年と一日

「さよならだけが人生だ」 これは元々井伏鱒二の言葉で有名のイメージだが、中国大陸における唐の時代において干武陵と呼ばれる詩人がつくり、井伏鱒二が意訳したものである。しかしいつしか井伏鱒二が発した名言として有名なものとして挙げられる。 もっとも日常の中で、どうしても「出会い」と「別れ」がある。その中でも長い人生の中でたった一日なのかも知れないのだが、一日の出来事の中では、人生のターニングポイントとな […]

比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども

本書の著者は元お笑い芸人で「セーフティ番頭」でコンビを組んでいた。かつて存在した「爆笑オンエアバトル」でも出演したことがあるのだが、2010年にコンビを解消、そして職を転々としながら、2014年に作家としてデビューし、そのデビュー作である「神様の裏の顔」で「第34回横溝正史ミステリ大賞」を受賞し、現在に至っている。 本書の話に入るが、本書は少し形の異なる短編集である。なぜ「形の異なる」と書いたのか […]

インスタント・ジャーニー

もしも世界一周の旅をするのであれば、数ヶ月ほどかかるかもしれない。しかも昨今は新型コロナウイルスの影響により、入国制限している国もいくつかあり、なおかつ旅行をするにもどうしても避けてしまうような時である。 ただ、空想の「旅」であれば、いつでもどこでも、何度でもできると言うのだから便利である。しかも本書はそれを行うことができるショートショートの一冊である。本書の帯には「1話5分」とあり、しかも全部で […]

ショートショート・BAR

私自身書評で小説を取り上げることがあるのだが、実際に10年以上経っても小説を評することは苦手である。書評家の多くは小説を主軸としている人がほとんどであり、小説以外を得意としている人はごく限られているのかもしれない。 それはさておき、小説は苦手である一方で小説を読むのはそれ程苦ではない。もっと言うと本書のようなショートショートはむしろ好きの部類に入るのかもしれない。 その要因とは何かというと短編集だ […]

おとぎカンパニー

世の中には色々なおとぎ話がある。そのおとぎ話は実際の所残酷な話を上手い具合にデフォルメにして子どもも楽しめるようにしたためているものが多くある。 そのおとぎ話を「会社」に見立てて、物語にした短編集というよりも「ショートショート」と呼ばれる超短編集にしたのが本書である。おとぎ話の「夢」の側面と、会社や社会と言った「現実」の側面を如実に表しているような気がしてならなかった。 もっとも会社をショートショ […]