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戯曲

BIRTH×SCRAP

本書は2つの戯曲を取り上げている。しかもその戯曲は2編とも、著者が主宰する「劇団温泉ドラゴン」にて上演され、特にBIRTHは2015年に韓国の演劇祭に出展され、戯曲賞受賞を受けるなど、評価は高い。 さて本書で取り上げている2つの戯曲はどちらかというと「アウトロー」の色が強い。「BIRTH」は日本が舞台ではあるものの、「オレオレ詐欺(現在は「振り込め詐欺」と言う方が多い)」を主軸としている。事情によ […]

『レ・ミゼラブル』の世界

今からちょうど155年前に作られたロマン主義の大河小説がある。その名も「レ・ミゼラブル」。元々は「悲惨な人々」を意味している悲劇なのだが、その悲劇は小説の枠を超え、映画やアニメ、ミュージカルにも展開していった。特にミュージカルの世界では「夢やぶれて」「民衆の歌」は一つの曲として一躍有名となった。そもそも「レ・ミゼラブル」はどのような小説で、その小説を描いたヴィクトル・ユゴーの思想とは何かも併せて取 […]

史上最高に面白いファウスト

ゲーテの名作の一つに「ファウスト」という戯曲がある。表向きとしては教養人ファウストの努力の物語というのだが、錬金術から黒魔術、さらにはその知性を得るために悪魔とも契約し、欲望の赴くままに動くといった作品である。構想60年を経て作り出された戯曲は数多くの作品にインスピレーションを受けたとしても知られている。有名どころではベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ワーグナーの「ファウスト序曲」、さらには手塚 […]

エンジョイ・アワー・フリータイム

本書は小説というよりも「戯曲」と呼ばれる一冊である。戯曲というとドラマや演劇の台本のように描かれていることが多いのだが、本書は演劇の中でも現在の日本の労働環境を映し出しているような作品である。どのような作品なのかというと派遣社員やファミレスのアルバイト、フリーターなど様々な人物であるが、いずれも「ゼロ世代」と呼ばれる、いわゆる「ロスジェネ(ロスト・ジェネレーション)」と呼ばれる世代が中心となって描 […]

ブルーシート

ブルーシートというと、レジャーなどで使われる青いシートを連想するのだが、震災などのレスキュー時にも使われる。 豆知識はここまでにしておいて、本書は2013年1月に福島県立いわき総合高等学校がアトリエ公演として上映された演劇の戯曲である。そもそもの戯曲は福島県における東日本大震災を題材にしているが、自ら体験したように死体や、倒壊した建物の惨状を克明に描かれており、私としてもセリフ一つ一つを見て、震災 […]

2009年年末恒例企画 vol.2 「文芸・評論」本ランキング

ランキングも2日目、今回は「文芸・評論」部門です。 早速行ってみましょう。 第5位「アレクサンドル・プーシキン/バトゥーム」 今年は小説の書評を多くやるということを宣言しましたが、戯曲にもチャレンジした年でもあります。ロシアの戯曲としても知られる作品を評するのはなかなか難しかったのですが、いい経験になりました。 第4位「蝶々は誰からの手紙」 書評の勉強がてら書評集を上げることも少なくありません。そ […]

アレクサンドル・プーシキン/バトゥーム

おそらく戯曲を書評するのは初めてである。 戯曲自体は私自身読んだことがないわけではなく、大学4年生の時にグリーグの曲のモチーフとなったヘンリック・イプセンの「ペール・ギュント」以来である。そもそも戯曲と言うのを知らない人のために少し解説をするが、簡単に言うとドラマや演劇で使う「脚本」や「台本」という形式がそのまま本になっているものを指している。そのためか配役から舞台の設定、表情や表現の仕方まで事細 […]