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文庫

オルガスマシン

「カスタムメイド・ガール(以下:ガール)」と呼ばれる女性型人形5体。それぞれの特徴、中には人ならざるような特徴を持つ人形たちである。男性の妄想・欲望を「忠実」に具現化させた姿であるが、その「忠実」さが歪なもののように見えて仕方が無い。 その欲望のはけ口となってしまったガールたちは叛乱を起こすという作品である。もっともガールたちの姿は挿絵として描かれているため、挿絵を見るだけでも嫌悪感を持つ人もいる […]

私はあなたの記憶のなかに

本書は表題作を含めて全部で8編収録されている。元々著者は長編も描くことがあるのだが、元々のホームグラウンドは短編と言えるほど、短編の作品が数多くある。それ故か小説雑誌にも度々取り上げられている。本書で収録されている作品も過去に雑誌にて取り上げられているものばかりである。 しかし「取り上げられている」と言ったが、初出が古くて1996年、新しくて2008年とどちらかというと古いものばかりである。とはい […]

セイレーンの懺悔

ちょうど今日アップした24日はクリスマスイブ、その日の深夜にフジテレビ系列にて「明石家サンタ史上最大のクリスマスプレゼントショー2022」が放送される。近年はコロナ禍の影響に伴い「寂しい話」とあったが、通常の時は「不幸な話」を題材にしている(とはいえ番組内では「寂しい話」でも「不幸」と多用しているのだとか)。クリスマスイブという良い日なのに「他人の不幸は蜜の味」と言うような話を聞くのはいかがかと思 […]

作ってあげたい小江戸ごはん2 まんぷくトマトスープと親子の朝ごはん

「小江戸」と言うと全国至る所に存在するのだが、その際たる所が埼玉県川越市である。江戸情緒溢れる風情が有名であり、駄菓子で有名な「菓子屋横丁」も存在する。 その小江戸・川越の外れにある「たぬき食堂」という定食屋にて織りなす物語が、本書である。もっとも同名のタイトルはシリーズものとなっており、本書はその2冊目である。小さな定食やで頼りない亭主と看板娘が切り盛りする。 そこで出される料理は美味しいと言う […]

大人になる時

人は誰しも「大人」になる。その「大人」となる定義は肉体的に大人になることもあれば、人によっては精神的に「大人」になるという意味合いもあり、人それぞれとしか言いようがない。 本書はその「大人」になることについてをエピソードを綴った短編集である。しかし「大人」となると、良い部分もあれば悪い部分もあるのだが、本書はむしろ「悪い」部分の方が強く表れている。しかもその「悪い」部分が「ホラー」の如く描かれてお […]

戦百景 長篠の戦い

天正3年5月21日、三河国長篠城を巡っての戦いである「長篠の戦い」が始まった。単純に結果だけを書くと織田・徳川連合軍が、武田軍を圧勝だった。しかしその開戦から、戦いまでの道のりは織田・徳川・武田それぞれの思惑が張り巡らされるものだった。 この長篠の戦いにて、織田軍は「鉄砲」を使い、騎馬に長けていた武田軍を打ち破ったのだが、それぞれの将軍がなぜ長篠の戦いにて、騎馬・鉄砲の戦いを行ったのか、また徳川と […]

無貌の神

本書は短編集であるが、全てダークな話で統一されている。 その中で、最初に出てくるのが表題作である「無貌の神(むぼうのかみ)」である。そもそも「無貌の神」自体は、 クトゥルフ神話に登場する邪神「ナイアルラトホテップ」の異名ピクシブ百科事典より とあり、なおかつそれを題材にした作品としてロバートブロックの同名の小説がある。壮大な世界観で有ながらホラーの要素も多いクトゥルフ神話の中でも無貌の神ことナイア […]

ファイナルガール・サポート・グループ

「ファイナルガール」は元々、 ホラー映画に登場する人物類型である。1960年代後半以降のアメリカで大量に作られたホラー映画が、一様に「純粋な若い女性が男の殺戮者と対決するが最後には生き残る」という構造をもっていることが映画研究の分野で注目され、この類型的な女性像が映画研究者キャロル・クローバーによって「ファイナル・ガール」と命名されたWikipediaより と意味している。そのため「ホラー」の分野 […]

満月珈琲店の星詠み

「星詠み」はいわゆる「星占い」の一種であるが、その星詠みに疲れた方々に対し星や月にまつわる飲み物・料理を振る舞う喫茶店がある。しかもその喫茶店は「満月」の夜にしか開店しない店である。 来店する方々も星詠みに疲れた方々であるが、起業家やライターなど様々な仕事の人が立ち寄る。しかもその喫茶店のマスターは猫というもの。 来店するそれぞれの人に合わせた「星詠み」と併せてのメニューが振る舞われるのだが、それ […]

新説 東洲斎写楽 浮世絵師の遊戯

「浮世絵」の絵師の中では特に有名な東洲斎写楽(とうしゅうさい しゃらく)。しかし彼が浮世絵師として活躍したのは1794年~1795年のうちわずか10ヶ月ほどである。たった10ヶ月の中で何十枚と残し、忽然と姿を消した。もっとも写楽の生没年も不詳であり、没年こそは諸説あれど確証自体がまだない状況。生年に至っては史料もないような状況にある。 10ヶ月あまりの中で鮮烈な活躍を見せた写楽だが、先述の様に生没 […]