TAG

殺人事件

共犯者

本書はミステリーの中でもよくある、1つの殺人事件を追っていくというものであるのだが、その殺人事件が意外な人間関係をあぶり出していくこと、さらには家族や警察、世論まで動き、やがて壊れるなど1つの殺人事件をきっかけに、人間、あるいはその周りの人びととの関係にある「闇」が明らかにされるという一冊である。 もっとも事件の謎を解き明かすと言うよりも、むしろその謎解きの中に出てくるなかでの、世間・人間関係の変 […]

情無連盟の殺人

本書では「アエルズ」と呼ぶ感情がだんだんと失う病気であるが、実際の傾向として「アレキシサイミア(alexithymia)」がある。アレキシサイミアは認知・感情などを表すのが不得意な「傾向」を示しており、論者によっては「病気」「障害」といった定義をなされるが、本来は「傾向」のみであるため、病気扱いにならない。おそらく著者はその傾向を参考に「アエルズ」と架空の病気として定義しているのかも知れない。 本 […]

聖女か悪女

表紙からしておどろおどろしさ全開の印象を持っているのだが、中身も負けず劣らずのおどろおどろしさだった。結婚パーティーという幸せの最中で起こった、あまりにも惨い悲劇。しかもその悲劇にはある「復讐」があった。 しかもその事件は殺人事件と監禁事件の2つであるが、殺人も8人を、さらには監禁も子ども8人をという人数もさることながら、その動機はまさに、人間としての「悪」という伏魔殿を見いだした。 ミステリー作 […]

Butterfly World 最後の六日間

よくある物語としてある人がオンラインゲームの世界に入り、そこで事件に遭遇する、あるいはデスゲームを行うといったものはよくある。しかし本書は「VR空間」における「殺人事件」というものである。 ミステリー作品も現代に当てはめたり、あるいはパラレルワールド、また他にも江戸時代など古い時代を舞台にしたものに至るまで様々なミステリーが生まれてきたのだが、本書は「VR」の世界における殺人事件というだけあり、そ […]

悪徳の輪舞曲

弁護士の中には刑事事件の犯人の弁護を行う方々もいる。しかもその中には「悪魔の弁護士」や「悪魔の代理人」といった肩書きで、凶悪事件の被告人を弁護する人もいる。その弁護についてメディアが糾弾をするというケースもある。 しかし本書に出てくる弁護士は違う方向で「悪魔」というべきかも知れない。報酬のためなら、法律の範囲内で手段を選ばない弁護士である。しかしながら報酬の度合いによっては無罪を勝ち取ることができ […]

予断捜査

東京のとある住宅街で一家殺人事件が起こった。その家族の妹が旅行の最中だったため、難を逃れたが、ニュースを知り、急遽戻ってきた。 なぜそのような事件が起こったのか、犯人は一体誰なのか。殺された家族は資産家でもあり、大学教授だった。しかもその大学の総長の選挙を控えていただけに、怨恨を始め、様々な線で捜査を行っていったが、実際には「一家」の歪んだ実態が明らかになっていった。 日本の国会や自治体のみならず […]

19歳の連続射殺魔 永山則夫事件と60年代

本書の事件が起こったのは1968年のこと。今から51年も前の話である。当時の日本はと言うと当時は東大を始めとした大学紛争が行われた年でもあり、世界に目を向けてみると「プラハの春」など象徴的な事件・出来事が立て続けに起こった年でもある。本書で取り上げる「永山則夫連続射殺事件」も象徴づける事件であるのだが、事件の内容もさることながら、司法の場において「永山基準」の慣例がつくられるきっかけとなった事件で […]

密室の神話

ミステリー作品、あるいは推理作品の中で出てくる殺人事件の多くは「密室殺人」と呼ばれるような類である。本書はその「密室殺人」を基軸にしたミステリー作品である。 本書の舞台は北海道にある架空の美術学校。その美術学校で起こった密室殺人は単純に部屋が密閉されているだけではなく、季節が冬であることから足跡も全く見つからない状況にある。そのことから密室に密室が重なって多重の「密室」となってしまい、事件そのもの […]

四〇一二号室

本書のタイトルは本書で「最恐」と言われる事件の舞台である。その舞台はタワー型マンションと言われるところの40階にあることから「四〇一二号室」になった。私だったらあまりそう言う所に住みたくは無いが、見晴らしは良さそうと言うことは容易に想像がつく。 本書はミステリーホラー作品で在るが、怖さは他の作品を凌駕していると言っても過言では無い。「女の妬み」と言う言葉を最も忠実に、そして最もグロテスクに表現をし […]

近所がうるさい!―騒音トラブルの恐怖

「ご近所様」という言葉はもはや「死語」なのだろうか。 「近所迷惑」になるようなことがもはやニュースで取りざたされるほどの「事件」になることも最近では多くなってきている。「近所迷惑」という訳でも無いが、「騒音被害」としては直近でも羽田空港の再拡張により千葉氏への騒音苦情が大幅に増えたというニュースがあった。「ご近所様」と呼ばれる時代の中で様々なことを共有したり許しあった時代があった。たとえそれが「騒 […]