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SF

イヴの末裔たちの明日 松崎有理短編集

人には誰しも「究極の選択」といった場面に直面することがある。その数・質は人それぞれかも知れないが。 それはさておき、本書は悲喜こもごもの「究極の選択」が求められる物語を5編取り上げている。そもそも「究極の選択」は人生の大きな転機になるのだが、その「転機」自体は悲しいところからの脱出や、長らく未解決だった件を解決することなど様々な傾向のものが収録されている。 全て近未来のSF作品であるのだが、現実味 […]

トランスヒューマンガンマ線バースト童話集

「童話」と言うと、非常にわかりやすく、子供でも読みやすいようにつくられ、なおかつためになるものがほとんどである。 しかしながら、本書はSFにしたものは良い。それどころか展開そのものをエキセントリックなものになっているため、「新手の短編集」といった扱いにした方が良いかも知れない。 ちなみに本書は「シンデレラ(灰被り姫)」「竹取物語」「白雪姫」「さるかに合戦」「おむすびころりん」「アリとキリギリス」を […]

時を壊した彼女 7月7日は7度ある

タイムリープするようなSF本はいくつも存在する。しかし、タイムリープしながらも、起こった事件を解決すると言った一冊である。 舞台はとある高校であるのだが、その高校で起こった謎の爆発死亡事件。しかしタイムリープしながら謎を解き明かそうとしていく中で、新たに死ぬ学生たち。謎が謎を呼び、迷宮入りをするかと思えるような物語であったのだが、証言を聞いていくうちに、解決への道筋が見えくる。 SFとミステリーは […]

SIGNAL シグナル

本書は「電波」を解読するまでのことについて描かれた一冊である。学生の頃にとある星雲(と言ってもウルトラマンらの故郷ではない)から届いた電波から物語は始まる。本書の主人公は当初は中学生であったが、この星雲からの電波が出たことに興奮し、ある先輩の元へと赴く、「先輩」は自らも天文に興味を持っていたものの、無口で変わった人だった。 そしてその「先輩」は天文学者となり、電波の解読に成功する。しかしその電波は […]

銀河帝国は必要か?

もはやAIの技術が進化しており、ロボットが接客をすると言った時代にも入っていたとも言われている。もっともロボットにより人間の働ける所が少なくなってくると言った論者もおり、果たしてそうなるのかはこれからの技術革新になってからという他ない。 本書で紹介するのはロボットが一連の倫理的な行動から反する、あるいはありもしないようなことが起こりうると言ったことをSF小説にして指摘した、SF小説の大家であるアイ […]

ブラックシープ・キーパー

「羊飼い」と呼ばれている異能力者たちとの戦いであったのだが、物語の舞台は札幌とかなり身近な場所であるが、あくまで「近未来の札幌」を描いている。 近未来というとSFの要素を持っているのだが、その中でも人間としての「愛」が描かれている。もっとも人物の中には人の愛を知らない冷酷さを併せ持った殺し屋だったのだが、その殺し屋の心境が変わった所の描写が何とも言えない。 近未来と言いながらも殺人描写もあるため、 […]

僕はロボットごしの君に恋をする

舞台は「近未来」といえるのかもしれない。そのような舞台になると、ロボットの技術はどうなっていくのだろうと思ったのだが、そのロボット開発と狂気が入り交じっているようであった。しかしながら狂気といいながらも、戦争を起こす、あるいは暴走を起こすといったグロテスクな展開になるのが多くある。本書もその例外に漏れずテロや暴走といった要素もある。 その一方で「思う人を守る」といった要素もあり、口悪く言うと「ベタ […]

架空論文投稿計画 あらゆる意味ででっちあげられた数章

何というか、ある意味「ナンセンス」な一冊である。しかしながらその「ナンセンス」さが創作としての面白味を引き出たせている。 そもそも「論文」は論拠を見出して議論を構成していくため、架空であってはいけない。もっとも文献や仮説などをふんだんに盛り込まれるため事実から考えていくことが求められる。 そのため本書のような論文はあってはならないのだが、その「架空論文」を作るのであれば「こうだ」というのを物語にし […]

BLOOD ARM

集落における殺人事件はよくミステリー作品では出てくる。もっとも限界集落と呼ばれる中では差別と言ったこと、さらには四方を山に囲まれた街では逃げ場がない、あたかも密室のような殺人事件が起こるような作品さえある。 しかし本書はミステリー作品とは異なり、天変地異が起こったり、ありふれた環境の中ではまず出てこない「触手のような何か」も出てくるなど、ある種の「SF」や「ファンタジー」と呼ばれるような現象が起こ […]

宇宙エレベーター その実現性を探る

もはやSFなのかと思ってしまうようなタイトルであるのだが、宇宙における開発技術が向上することにより、現実化するような姿が映し出せるようにまでなっている。そのような状況の中で宇宙エレベーターがいかに開発されるのか、宇宙開発の歴史と未来を見据えながら取り上げている。 第1章「宇宙エレベーターとは?」 宇宙エレベーターの構成や特徴について取り上げられているのだが、どこかSF小説やアニメに出てくるようなも […]