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芸能

オッペケペー節と明治

時代において様々な「流行」が存在するが、本書で紹介するのは「オッペケペー節」と呼ばれるものである。今となっては奇天烈な印象を持たれるが、実はつくられたのが1889年(明治22年)であり、そこから上方落語の舞台から東京へと広がり、やがて全国に広まった歌である。またわずかにではあるものの、音源・動画も残っているほどである。 なぜ「オッペケペー節」が生まれ、関西を起点に流行していったのか、そしてそれにま […]

新作らくごの舞台裏

昨年の11月末に噺家の三遊亭圓丈が逝去した。76歳だった。 圓丈の師匠である六代目三遊亭圓生が存命だった頃は古典落語が中心だったのだが、圓生が逝去してからは「実験落語」と称して、様々な新作落語を演じ、新作落語の旗手として名を馳せた。その活躍は現在の落語芸術協会会長である春風亭昇太や、圓丈の弟子である三遊亭白鳥ら新作落語を積極的に演じる方々に多大なる影響を与え、なおかつ今日の新作落語の土台を創った存 […]

昭和の名人この一席

噺家の世界において「名人」と呼ばれる人は数多くおり、時代と共に変化していく。ごく最近で逝去した方でも十代目柳家小三治は昭和から令和にかけての「名人」として知られていたほどである。 本書はあくまで「昭和」にフォーカスを当て、どのような「名人」がいたかを取り上げ、特に印象に残る演目も含めて列挙している。 第1章「大正から昭和初期の落語」 戦前の噺家にも名人は数多くいるのだが、本章では昭和初期もさること […]

カンカラ鳴らして、政治を「演歌」する

歌の世界では「社会風刺」もしくは「批判」なども行われる事も多々ある。昨今のポップスでも、それを行っているアーティストも少なからずいる。 所変わって歌の世界でも様々なジャンルがあるのだが、本書で紹介する「演歌師」は明治末期から昭和にかけて広まった職業であり、現在ではほとんどいない職業である。よくある演歌歌手とは違い、大道を流し歩く、あるいはキャバレーなどの店を流れ歩き、即興で演歌を披露するといった方 […]

その落語家、住所不定。タンスはアマゾン、家のない生き方

泥棒しろ、ただし、俺の家は駄目だぞWikipediaより抜粋 これは著者の大師匠である七代目立川談志が弟子に対して言った言葉である。もっとも噺家はまっとうな仕事・発言などを行ってはならず、なおかつまともな生き方をするなということを意図して発言したのかも知れない。 そう考えるのであれば、その発言に対して忠実に行った孫弟子が本書の著者と言えるのかも知れない。 著者は噺家としては珍しい家を持たない。もっ […]

寄席の底ぢから

ここ最近、ニュースで寄席の話が出てきた。それは東京都内で3回目の緊急事態宣言が出る直前に休業要請が出たのだが、「社会生活に必要なもの」と主張し応じず、通常通り続ける方針だったが、一転5月1日から休業することに踏み切った(12日に再開済み)。また寄席の文化を廃れさせないために、ゴールデンウィークの1日だけ、無料で生配信をやった。 このニュースを通じて、寄席は社会生活に必要なのかという議論があったのだ […]

言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか

M-1は2001年からスタートし2011年から2014年までの休止期間はあったものの、現在もなお続いている。なお優勝者のほとんどは吉本興業であり、それ以外の芸人が優勝したのは過去に3組しかない(最後に受賞したのは2007年のサンドウィッチマンである)。20年ほど歴史のあるM-1はなぜ関西、もとい吉本が席捲しているのか、そして関東芸人はどう立ち向かうべきか、そのことを取り上げている。 第一章「「王国 […]

AV女優の家族

「AVに関わっている」と言うだけで偏見を持たれることが多くある。メディアでも取り上げられるのだが、その頻度はわずかなものである。その一方で、ここ最近ではアイドル視されているような感があるという。そのAV女優たちの現実と信念、そして家族たちはどのような想いなのかを取り上げているのが本書である。 Chapter1「白石茉莉奈」 白石茉莉奈は既に結婚しており、家庭も持っている。しかしその夫に隠して仕事を […]

時代劇入門

皆さんは「時代劇」と聞くとどう連想するか。古くさい、年寄りの見るものといった声を聞くのだが、時代劇自体は戦後、テレビにて出てきた中のエンターテインメントの一つとして楽しむことできる要素としても親しまれている。 しかしながら時代劇は今も昔もあり、親しんでいる人も多い。その時代劇はどのように接したら良いか、そしてどのような歴史を歩み、スターを生み出したのか、そのことについて取り上げたのが本書である。 […]

日本の戦争映画

映画には様々な種類があるのだが、とりわけ戦争映画ほど、物議を醸すジャンルはないと思われる。方や「戦争を美化している」、方や「国を悪者にしている」といった論調があり、タチの悪いことに映画そのものを見ずに批判をする。もっとも映画に込められたメッセージは実際に観ないとわからない。それはさておき、日本における戦争映画は長い歴史のなかで醸成されていった。本書は大東亜戦争後の戦争映画をもとにした、日本における […]