勝ち続ける意志力~世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」

(株)スタジオ・ビビ 乙丸様より献本御礼。
「勝負の世界」にいる方々の「生き様」に関する本はいろいろと見てきた。将棋で言えば故・村山聖、囲碁では藤沢秀行や張栩、麻雀では小島武夫の本を取り上げてきた。本書もまた「生きざま」を描くとともに、囲碁や将棋と違うプロ・ゲーマーとしての勝負のあり方について描いている。

第一章「そして、世界一になった」
「37秒の奇跡」「世界一のプロ・ゲーマー」

その賞賛の声を浴び続けているゲーマーが1981年、青森で生まれた。青森で生まれた少年は移ろいゆく周りの目や声を尻目にゲームに没頭し、1998年に「STREET FIGHTER ZERO3」という格闘ゲームの世界選手権において、若干17歳で世界一まで登り詰めた。

第二章「99.9%の人は勝ち続けられない」
勝てる人でさえ、一生勝ち続けることは不可能である。時として「負ける」こともありうることが勝負の世界である。私もカードゲームや麻雀、将棋といった勝負をやったことはあるが、負けることがほとんどだが・・・。
私事はそこまでにしておいて、勝負の世界では「失敗」や「考える」ことの必要性もあるが、常に「変化」し続けるなかで自らのプレイスタイルを築き上げながら、戦い続ける。それは格闘ゲームの世界に限らず、麻雀でも将棋でも「勝負」の世界にいる人たちの理であり、かつ進化をやめたものはその世界で「死」を意味しているのだから。

第三章「ゲームと絶望と麻雀と介護」
しかし、勝負の世界に生き続けると、見えない「壁」にぶち当たることがある。著者もまたゲームの「壁」にぶち当たった。それは「技術」の「壁」ではなく、「認知」の「壁」であった。その壁にぶち当たり、長年続けた格闘ゲームの世界からはずれた。
そして次の世界に行ったのは「麻雀」である。ゲームとは全く異質の「勝負」がここで行われており、著者もなれるのに時間はかかった・・・と言いたいところだが、「勝負」の世界に生きてきた人間は「勝負」の本質がわかっているように、3年のうちに強豪に認めてもらえるようになった。
その後勝負の世界から離れ、介護の仕事に就いた。しかし・・・一度はまり、離れた勝負の世界にまた舞い戻ってきた。それも「偶然」という形で。

第四章「目的と目標は違う」
格闘ゲームの世界に舞い戻り、世界選手権にカムバック、そしてプロ契約するに至った。その著者の目的や目標に対する考え方について綴っている。

第五章「ゲームに感謝」
前章にて「プロ契約」を書いたが、実際にプロ契約に至ったのは2010年4月の時である。正真正銘の「プロ・ゲーマー」となった瞬間である。そのプロ契約の道のりと、25年ものゲーム人生に感謝の意を本章にて添えている。

本書は「仕事術」というよりも、世界一の「プロ・ゲーマー」ならではの葛藤、そして勝負哲学から何を学ぶのか、と言うのを考えさせられる一冊と言える。もっとも私の中でも最も印象的なのが、囲碁や麻雀、将棋とは異なる「格闘プロ・ゲーマー」の「勝負師」の生き様そのものにある。

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