外国人集住団地――日本人高齢者と外国人の若者の“ゆるやかな共生”

明けましておめでとうございます。本年も「蔵前トラックⅢ」をどうぞよろしくお願いいたします。

新年はこの1冊からです。

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「団地」と言うと、ここ最近ではネガティブな話しか聞かない。特に高度経済成長期において各地でニュータウンができ、団地も生まれてきたのだが、近年では高齢化が進み、廃れて言っているといった風潮をまことしやかに見聞きすることがある。

しかし団地の中には新しい「共生」をもって活き続けているところもある。そこで本書である。「外国人集住団地」であるが、外国人だけというよりも、外国人が団地に住むようになり、日本人と「共生」する所にある。その現状と、これからの「団地」と「共生」のあり方について本書にて取り上げている。

第一章「なぜ芝園団地は外国人住民が激増したのか」

埼玉県川口市に「芝園団地」がある。団地としては1978年に年に建てられ、現在では約5000人が住んでいる。かつては日本人が住むようになったが、だんだんと外国人が住むようになり、現在では外国人が住む人の方が多くなっている。多くの国・文化が交わる団地であるが故のトラブル、そしてつながりも存在しているが、なぜ芝園団地に外国人住民が増えていったのかを分析している。

第二章「「開かれた自治会構想」と「芝園かけはしプロジェクト」」

単純に外国人住民が増えただけでは、問題解決に進むことができない。では芝園団地ではどのような動きでもって「共生」を図ってきたのか。そこにあるのが「自治会」と「プロジェクト」などがあった。

第三章「各地の外国人集住地域の「共存」「共生」の取り組み」

川口市の芝園団地だけでなく、本章では東京・横浜・知立・四日市とそれぞれの団地にて外国人と日本人との共存・共生の取り組みを行っている所がある。本章ではその取り組みを紹介している。

第四章「日本人同士でもできていない「共存」「共生」」

そもそもかつては日本人同士にて「共存」「共生」といった動きがあったのだが、近年ではその動きもなくなってきている。その理由と、そもそも日本人は「共存」「共生」ができていたのかという疑問について考察を行っている。

第五章「「隣近所の多文化共生」を推進するための提言」

本書で取り上げた外国人集住団地は「多文化共生」といった動きを見せている一方で、コミュニティの現状と、これからの「共生」「共存」のあり方をどう考えていけば良いのかが課題としてある。その課題に対して著者自身が持っている提言を取り上げている野が本章である。

外国人が住むといった動きはある一方で、本書の様に団地にて多くの外国人が住むようになり、それが多文化共生の場所になっていることは初めて知った。と同時にこの動きはこれからも広がっていくようにも見える。その中でこれから日本人が求められているのは何か、そのヒントが本書にあると言えよう。

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