小説

書評

歌姫メイの秘密

母親とともにとある新興宗教から逃げ、複雑な境遇の中で育ってきた少女は歌の才能があった。その才能はやがて「歌姫」と呼ぶにふさわしいようになっていったのだが、その少女は生き別れの実父を探しに行くというのが本書の根幹にあたる。 その少女の名前が「...
書評

誰かが足りない

本書の表紙を見るとテーブルと椅子が4つある。これは何を意味しているのかとふと疑問に思ったのだが、本書の目次を開くとおのずと「レストラン」であることがわかる。そう、本書は予約を取ることですら難しい小さなレストランを舞台にした「6つ」の物語であ...
書評

残り全部バケーション

何ともハッピーなタイトルの一冊であるのだが、本書の主人公は「裏家業」をやる2人組である。「裏家業」というと全くと言ってもいいほど穏やかなものではないのだが、その2人組は何ともデコボコぶりがあり小気味良い展開であるのが良かった。 全体で五章に...
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書評

abさんご

本書は第148回芥川賞を受賞した作品である。もっと言うと史上最高齢で芥川賞を受賞した作者であり、作品である。しかし本書は中編でありながら、小説のあり方を大きく覆すような一冊である。 何が覆しているのかというと、本書には人を指すような「固有名...
書評

西洋菓子店プティ・フール

お菓子は俗に「嗜好品」と呼ばれており、無くても生きてはいけるものの、衣食住の幅をきかせるなかでは、なくてはならないものの一つでもある。またお菓子と言ってもスナック菓子はもちろんのこと、洋菓子・和菓子など大きなカテゴリーがあり、種類も豊富にあ...
書評

イルミネーション・キス

季節は11月。そろそろクリスマスに向けて色々なイルミネーションが見られるようになる。そのイルミネーションでときめくようなデートなどのシチュエーションを連想する部分もあるのだが、その中でも本書は「キス」を題材にした短編集である。 本書で取り上...
書評

ラジオラジオラジオ!

私自身テレビをあまり見ない一方でラジオを聞くことが度々ある。AMやFMもさることながら、最近ではインターネットでも生・録音問わずに配信される、いわゆる「ネットラジオ」も出てきている。番組、そしてその番組によって流れる音楽もヴァリエーションが...
ミステリー

ジェリーフィッシュは凍らない

本書の帯には「21世紀の「そして誰もいなくなった」登場!!」とある。そもそも「そして誰もいなくなった」の作品は名探偵エルキュール・ポワロシリーズで有名なアガサ・クリスティーが著した推理ミステリー小説である。それに近いような雰囲気を醸したこと...
書評

忍土

それぞれの土地にはそれぞれの「愛」がある。もちろんその「愛」の形は全国津々浦々の違いもあれば、その男女の性格の違いにも表れる。その中でどのような恋愛模様があるのか、本書はその地域での恋愛模様を短編集という形で描いている。 そもそも「忍土(に...
日本人

漱石、ジャムを舐める

夏目漱石といえば文学者で古き良き日本の芸を好み、食の嗜好もまた日本的なものが好きなイメージかと思ったら、食は意外にも牛鍋やケーキなどが好みだったのだという。本書のタイトルにあるジャムもおやつに舐めることが好きで医者にとめられるようなことがあ...
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