起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

この頃「勝間本」が頻発している。当然それらはほとんどベストセラーとなっている。私も「7つのフレームワーク力」からファンになったが、やはりわかりやすく、やり方もあり、斬新である。でもこれだけ頻発すると、私の懐事情も厳しくなる。

それは置いといて、本書は起きていることがすべて正しいと思わせるメンタルトレーニングの方法について書かれている。

第1章「「偶然を幸運に変える」セレンディビティの技術」
ここでは勝間さん自身のエピソードが最初に書かれており、そこから自らの体験からメンタルを鍛える技術の鍛え方についての骨子が書かれている。このメンタル筋力をつける方法には三本柱があり、

「メンタル筋力を強くする心構えをつくる」
「ストレスを上手にコントロールする」
「徹底した疑似体験の量を積む」

と位置付けている。特に3つ目の「疑似体験」は読書によるものであるという。

第2章「あなたの潜在意識が目覚める! 脳内フレーム120%活用法」
ここから勝間式のメンタル筋力をつける技術を4つに分けて述べていくが、ここでは1つ目「広げる」について説明している。ここでは、

「潜在意識と成長パスの関係を理解する(ホップ)」
「潜在意識を活用して自分のデータベースを強化する(ステップ)」
「潜在意識の自分のデータベースを行動すること(ジャンプ)」

潜在意識を高める(広める)ためにどうすればいいのか。その基礎段階として「積極思考」を行い、フォトリーディング・マインドマップでデータベースを強化し、ディープスマート力(経験から導かれる力)で行動することに潜在能力が目覚める。

第3章「「99%捨て、1%の本質をつかむ」即断即決法」
ここでは「絞り込む」について、つまり「捨てる技術」について書かれている。そしてこの捨てる技術の中で印象的だったのが「ストレングス・ファインダー」があるのだが、ここでは勝間さんのみならず、小飼氏smooth氏聖幸氏の強みについても分析されている。御三方で共通して言えるものはあるかというと……目標や最上の到達点の思考、もしくは志向がある。「ストレングス・ファインダー」かやってみようかな。

第4章「「4つのダイヤ」を引き寄せるパーソナル資産増強法」
ここでは「殖やす」について、自分の潜在意識などの資産を増強する方法について書かれている。パーソナルの大切さに気づき、好循環をつくり、つねに使い切るように目配りをするという。ここでちょっとピックアップすべきものがあった。

「大事なことは、そのような無知の知との巡り合いをきっかけにして、いかに自分のパーソナル資産を大事に育てていくかということです。」(p.245より)

「無知の知」というのはソクラテスによって提唱された言葉である。自分は何も知らないことを知っている。それが自分の価値を高めるための武器になり、正しい「知」として養っていく動機にもなる。

第5章「勝間式人間関係の兵法――「5つのわがまま力」で年収が20倍になった理由」
最後は「調和する」ことである。
章題で出てくる、「5つのわがまま力」とは一体何なのかとは

「叱られたことから、自分の能力を見極める力」
「褒めることで、周りと調和する力」
「チーム内で強いところと弱いところを互いに補完する力」
「正しい目標を設定し、フィードバックし合う力」
「正当な評価体系を保持してやる気を保つ力」

となっている。

本書を読んだ率直な感想であるが、小飼氏も書かれていたように、「書評者泣かせな一冊」と言える。J-POPに喩えると、ベストアルバムの感じである。つまり「史上最強の人生マニュアル」をベースに勝間氏の書いた様々な本が詰まっている。これで1,500円なのだから安いというのもあるが、内容がぎっしり詰まっており、実践価値の高い反面、これを評価するというのは非常に難しい一冊であった。書評する人にとっては泣かせる一冊ではあるが、そうでない人でも一家に一冊あったほうがいいかもしれない。