直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~

ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス 片山様より献本御礼。
たった一つの出来事で、人生は大きく変わる。本書の著者は今から25年前に起こった「地下鉄サリン事件」に巻き込まれた。その事件で負傷し、現在も後遺症を患うこととなった。その後マーケティングの仕事をしていたが、人生を見直すことにより様々な道を経て現在に至っている。その至った中で活かすことができたのが本書で紹介する「弁証法」である。その弁証法はどのように活かすべきか、その方法を伝授しているのが本書である。

第1講「弁証法は最強の「道具」だ」
「弁証法」とは、

「意見(定立)と反対意見(反定立)との対立と矛盾の働きが、より高次な発展段階(総合)の認識をもたらすと考える哲学的方法。本来は対話術・問答法の意味。カントは弁証法を「仮象の論理」として消極的な意義のみを認めたが、ヘーゲルはより積極的に、全世界を理念の自己発展として弁証法的に理解しようと試みた。またヘーゲルを批判的に摂取したマルクス・エンゲルスは、弁証法を自然・人間社会および思考の一般的な発展法則についての科学(唯物弁証法)とし、キルゲゴールはヘーゲルの量的弁証法に対して宗教的実存へと高まる質的弁証法を主張した」「広辞苑 第七版」より)

とある。特に有名どころとしては「ヘーゲルの弁証法」が挙げられる。実際にヘーゲルの弁証法自体は「精神現象学」における「意識」を紐解くために使われている。ではなぜ生きていく上で「弁証法」は最強の道具なのか、その理由を述べている。

第2講「なぜ、今、弁証法なのか?」
第1講で取り上げた辞書的な意味よりも少し突っ込んで弁証法を説明されており、なおかつ図式でどのように弁証法が使われるのかを実際の場での考え方で置き換えているため、「弁証法」についての意味を知るのであれば本章が最適である。弁証法を今ある場面で使えることを主張しており、なおかつどのようなケースがあるのかについても取り上げている。

第3講「「アウフヘーベン」を理解しよう」
「アウフヘーベン」は簡単に言うと、「止揚(しよう)」という。これは何かというと、

「ヘーゲルの用語。弁証法的発展では、事象は低い段階の否定を通じて高い段階へ進むが、高い段階のうちに低い段階の実質が保存されること。矛盾する諸契機の発展的統合」「広辞苑 第七版」より)

とある。根源的に言うと「アウフヘーベン」自体はドイツ語の「Aufheben」という綴りになっており、「廃棄」や「高めること」と定義している。ここでの「アウフヘーベン」は「掛け合わせる」ことを意味しており、1つの意見・要素(テーゼ)をもう1つ反論的な意見・要素(アンチテーゼ)を掛け合わせて「高める」ことによって、対立を超えた新らしい概念を生み出すことができるという。

第4講「弁証法で世の中を読み解く」
歴史を始め、事実における事象も弁証法によって読み解くことができる。しかも中にはよく言われていることとは異なるような解を生み出すこともあるのだという。

第5講「人生をぶち抜く高速道路効果」
本書のタイトルにあることも弁証法で紐解くことができる。もっともまっすぐにいくと色々な道を経由するよりも最短でたどり着くことができる考えが持たれるのだが、弁証法ではそうではない。直線にしても移動する「手段」によっては経由する方が早いという。例えば直線で行く一般道よりも、経由して移動できる高速道路の方が早いといったものがあり、それを「高速道路効果」と定義している。

第6講「バカこそ寄り道をせよ」
人生は何があるのか分からない。目的通りに進む道でも「寄り道」といったものもある。寄り道せずに直線的に行くことが理想とされているが、所詮は「直線」的な体験であるだけに、幅を広げる、あるいは夢を叶える手前で頓挫してしまう。本章では将来の夢を叶える、あるいは目標を達成するための「寄り道」「道草」をすすめている。

第7講「反省は役に立たない」
本章のタイトルを見ると北斗の拳に出てくるサウザーの「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」と言う言葉を思い出してしまう。もっとも仕事にしても、人生にしても失敗や挫折はつきものである。それらに対して反省をすることよりも、むしろそのことをアンチテーゼとして、これからどのように動いていけば良いか、考えていけば良いかを取り上げている。

第8講「自分だけのストーリーを作れ」
人には「人生」と言う名の物語がある。それを紡ぐのは色々とあるが、根幹は自分自身にある。その人生という物語をいかにして作っていくかを伝授している。

第9講「創造のためにはルールから決める」
別に天地創造をするわけではない。自分としての作品、あるいはサービス、考え方を「創造する」ことを説いている。そもそも「創造」とは何かを考え、行う上でのルールづくりはどうしたら良いかも併せて取り上げている。

第10講「大きな成果を手にするあと一歩の極意」
大きな成果を得るためにも弁証法は役立つのだという。ではどのようにして役立つのか、その極意を余すところなく伝授している。

哲学というととっつきにくい部分もあるのだが、ビジネスでも使えるところはいくつもある。本書で取り上げている「弁証法」もまたその一つであるのだが、本書のサブタイトルにも書いてある通り「実践」と称しているだけあり、実践的に弁証法をどのように使えるかが示されているため、自身の仕事、および人生で役立てられるようにできている。

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