図で考えるとすべてまとまる

「考え方」を一括りにまとめても、ロジカル(・シンキング)、ラテラル、図解、クリティカルなどのように様々な種類がある。

その中で本書は「図」を描いて考えるという手法である。数多くある考え方の中でもっとも日本人らしい考え方であると私は考える。というのも子供の頃から絵本や漫画にふれる機会が多く、文字で理解できなくても、図や絵で理解できることが多々ある。私も元々は図や絵で理解していた人間なので。

本書は美大から外資系コンサルタントで勤めた経験のある移植のコンサルタントの図解術を伝授した一冊である。

第1章「あなたは文字で考える人?数字で考える人?それとも…」
あなたは以下の中でどの資料が分かりやすいか。
・文字だけ
・文字+統計表
・文字+図
人によるが、私だったら一番下である。図がある方が、難しい説明をするよりも、分かりやすく、かつ説得力があるためである。

第2章「図で考える人の5つのメリット」
図を描くメリットは、なんといっても一目で見て理解ができるところにある。
そしてもう一つには図を描くことで思考を整理することができる。

第3章「絵を書くのがヘタでも大丈夫です!」
しかしいきなり図や絵を書こうと思っても、「絵を描くのが下手だから」「子供っぽいものしか書けないから」と抵抗を持つ人も少なくない。しかし絵は下手でもかまわない。自分なりの絵にしたことにより、思考の整理ができる。そして質問をされたときでも、自分で描いた絵があれば答えられる。
相手にとっても、自分にとっても分かりやすいものになる。

第4章「7つの必勝パターンを身につけよう!」
ここでは図形の「パターン」について紹介されている。たとえばマトリックス、TODOリストなど分析や進捗を測るもの、線表・コンセプトなど時間やアイデアを創出するものが挙げられる。
図にもいろいろな種類があるが、私自身職業柄、図を描くことが非常に多い。コンサルタントでも、お客様に理解すべくプレゼン資料で図を多用することがあるが、SEでもユーザ(お客様)に理解させるべく、フローチャートやシステム構成、処理の流れなどを図で表すことが多く、設計書も図で表すことが非常に多い。SEの図解作成術というのもあったらいいなと考えてしまう。

第5章「実際に、図を使ってビジネスを考えてみる!」
いよいよ実践編である。たとえばある問題が起こった場合、もしくは要望があった場合、それを行う意図、解決策、人、モノ、金に至るまで細分化を行い、優先順位をつける。図解での細分化は山登りに似ており、まずは1合目、2合目と段階を踏むことにより、解決への道を用意にすることができる。
またアイデアも、「考具」や「アイデアパーソン入門」の加藤昌治氏のアイデアを「たぐる」よろしく、様々な考えやモノを図や絵にしてアウトプットしてみるのも良い。

第6章「プロフェッショナルの資料の作り方」
あらかじめ手書きで書いた図から、いよいよPowerPointやExcelする所に移る。表・図・メッセージに至るまでどのように描いたら良いのか、事細かに書かれている。

このビジネスの世界には様々な考え方や仕事術がビジネスパーソンの数は存在する。本書で紹介した図解思考、図解仕事術は相手にとっても、そして自分にとっても「わかりやすい」様にできている。図解技術は海外の諸国と違い、絵などやモノなど形あるモノを見慣れている日本人になじみやすい思考であり仕事術と言える。