落語の達人~この噺家を忘れてはいけない!

「落語の達人」というと五代目古今亭志ん生や八代目桂文楽、六代目三遊亭圓生などが挙げられるが、本書では落語をあまり知らない人でも「名人」と呼ばれるほどの落語家をさしておらず、むしろ「通」と呼ばれる方々がファンにとって印象に残る落語家の中から3人を取り上げている。

五代目 柳家つばめ
元々の名跡は「柳家つばめ」であるが、本章で紹介される五代目の次である、六代目だけは「柳家つば女」という名跡だった(読み方は同じ)。
史上初の人間国宝に認定された五代目柳家小さんの懐刀として活躍しただけではなく、きっての新作派として政治などを風刺した「落語政談」などを世に残した。
柳家つばめの話ばかりではなく、戦後の新作落語について、五代目春風亭柳昇や四代目桂米丸、初代林家三平らが出演した「創作落語会」についても言及している。

三代目 三遊亭右女助
三遊亭右女助は三遊亭の中では新作派と呼ばれている。何せ師匠は新作派の闘将と呼ばれた五代目古今亭今輔であった。今輔門下には四代目桂米丸や三代目三遊亭円右らの新作派の落語家が名を連ねる。
右女助の代表的な演目として「出札屋」というのがある。駅員が全国津々浦々の駅名を挙げていくシンプルなものであるが、それがほぼ毎日のように寄席で演じられたことから右女助の代名詞となった。

橘家文蔵
橘家文蔵は主に古典落語が中心であったが、寄席よりもむしろ学校で一席演じることがほとんどであり、「文蔵が 東京にいれば 夏休み」という川柳が存在するほどであったという。

近年は「落語ブーム」と呼ばれるほど落語の本も数多く出版されており、ホールも「満員御礼」が出るほど人気がある。しかし落語家の名前を知っていると言えど、笑点や日本の話芸に出てくる様な名前しか出てこない人も多いのも事実である。だからでこそ、落語はもっと奥が深い、と言うのを教えてくれる落語家を本書では厳選して3人を紹介しているのである。

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