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上方

昭和の名人この一席

噺家の世界において「名人」と呼ばれる人は数多くおり、時代と共に変化していく。ごく最近で逝去した方でも十代目柳家小三治は昭和から令和にかけての「名人」として知られていたほどである。 本書はあくまで「昭和」にフォーカスを当て、どのような「名人」がいたかを取り上げ、特に印象に残る演目も含めて列挙している。 第1章「大正から昭和初期の落語」 戦前の噺家にも名人は数多くいるのだが、本章では昭和初期もさること […]

天下一の軽口男

伝統芸能にも必ずといってもいいほど「始祖」が存在する。落語の世界でも江戸落語では鹿野武左衛門がおり、上方では初代露の五郎兵衛や本書の主人公である米沢彦八がいる。上方落語界の草分け的存在であり、いまとなっては上方の落語祭として「彦八まつり」と銘打っているほどである。 その彦八は「笑い」そのものを商売にすることを思い立ち、幾度の苦難・挫折を経験しながらも、日本における「笑い」の文化をつくった。その物語 […]

父・横山やすし伝説

おそらく昭和の「MANZAIブーム」の中核にいたコンビとして横山やすし・西川きよしであると言っても過言ではない。そのうち横山やすしが昭和の漫才界の中核を成した人物の一人であることもまたよく知られている。 その一方で様々な事件を起こした人物であった。その事件により大阪弁である「やたけた」といった言葉がよく似合う人物こそ、著者の父である横山やすしその人である。本書は逝去してから22年経つ今、長男の視点 […]

いとしこいし想い出がたり

あけましておめでとうございます。本年も「蔵前トラックⅢ」をよろしくお願い申し上げます。 新年1発目として本書を取り上げます。「初笑い」という部分で。 私自身お笑いが好きであるのだが、昨年は様々な訃報があった。関西を中心とした上方の演芸に焦点を当ててみると初頭には上方落語四天王の一人である三代目桂春団治氏が、年末には吉本新喜劇のメンバーで「パチパチパンチ」で有名な島木譲二氏がこの世を去った。そのこと […]

上方スピリッツ

昨年7月にお笑い芸人として史上初となるピースの又吉直樹が「火花」でもって芥川賞を受賞した。その「火花」の内容はざっくりと言うとお笑いを基軸にしている作品である。 その「お笑い」を基軸にした作品はいくつも存在しており、先日取り上げた「トマト・ケチャップ・ス」という本でもお笑いを基軸にしているのだが、本書もまたお笑いの中でも「漫才」、それも大阪など関西を舞台にした「上方漫才」としている。 その上方漫才 […]

藝、これ一生―米朝よもやま噺

落語界史上2人目の人間国宝で、上方落語における「中興の祖」の一人だった三代目桂米朝が今年の3月19日に逝去された。はんなりとした語りのなかで描かれる落語が非常に面白く、数多くの落語を掘り起こし、さらには多くの弟子を育て上げ、上方落語の復興に身を捧げたと言っても過言ではない。 桂米朝が晩年、自らの芸、弟子、上方落語のこれまでとこれからについて「聞き書き」という形で残したのが本書である。 <看板、一枚 […]

もっと知りたい上方文化―過去と現在を訪ねる

上方文化として代表的な物を挙げるとしたら、落語と歌舞伎、さらには宝塚や浄瑠璃などがある。他にも「文化」という括りで行くと「茶の湯」も古都・京都から来ており、漫才も大阪流の物は今でも衰えを知らない。 さて最初に挙げた落語や歌舞伎では代表的な人物として、落語では三代目桂米朝、歌舞伎では四代目坂田藤十郎がいる。とりわけ坂田藤十郎は江戸の市川團十郎と並んでの大名席である。市川團十郎は「荒事の名手」と呼ばれ […]