父・横山やすし伝説

おそらく昭和の「MANZAIブーム」の中核にいたコンビとして横山やすし・西川きよしであると言っても過言ではない。そのうち横山やすしが昭和の漫才界の中核を成した人物の一人であることもまたよく知られている。

その一方で様々な事件を起こした人物であった。その事件により大阪弁である「やたけた」といった言葉がよく似合う人物こそ、著者の父である横山やすしその人である。本書は逝去してから22年経つ今、長男の視点から見た横山やすしの姿を綴っている。

第1章「素顔の横山やすし」
横山やすしほど「やたけた」を忠実に再現した人物はいない。素顔を見ている中でも、Sのことを証明しているほどである。横山やすしは飛行機の購入からボート、さらには女性関係に至るまで家族を巻き込むほどであったという。

第2章「親父ルール」
家族にも父・横山やすしがつくったルールがあり、それについて縛られることもあれば、逆に自分自身を縛るようなこともあったのだという。横山やすしがつくったルールは自分自身を表現する、あるいは家族を大事にすることで溢れていたのかもしれない。

第3章「芸人・横山やすし」
芸事に対しては自分にも他人にもとてつもなく厳しい。その側面を如実に表した章である。芸人として漫才を成していったこと、そしてその後進を育てることに心血を注いでいったほどであり、鉄拳制裁をする、あるいは延々と説教をするようなこともあったという。

第4章「横山やすしと木村一八の事件簿」
横山やすしと著者の父子は様々な事件を起こし、ワイドショーでも取り上げられるほどであった。著者自身も多くの事件を起こしたのだが、その供述について自らの観点で生々しく綴られている。

横山やすしが逝去して22年となる。数々の事件を起こしたのだが、漫才をお茶の間に押し広げ、なおかつ漫才で名声を手に入れた人物と言っても過言ではない。漫才の歴史は長いものの、その中で燦然と輝く星が、まさに著者の父である横山やすしそのものと言える。