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旅を栖とす

ここ最近エッセイを読むのだが、たいがいは「旅」にまつわる本が中心となっている。仕事柄、旅行に行く時間もなく、なおかついざ旅行をする時間があったとしても、どこに行こうか迷っている間に時間が無くなってしまう性分である。そのためか旅らしい旅は人生において数えるほどしかない。 私事はさておき、本書の著者はバックパックで10年もの間、国内外を渡り歩いていた。その10年の旅の記録を綴ったエッセイである。アジア […]

行った気になる世界遺産

いきなり本書を否定するようで申し訳ないのだが、名所などは実際に行かないとわからない感覚がある。もちろん行った先の所について書かれている本は何冊もあり、なおかつインターネットを開いてみると、紀行文や感想、さらには名所の紹介など細々と書かれている。そのためか、本書のように「行った気になる」ことは容易にできる。 しかしながら昨今はコロナ禍であり、状況は緩和されているとはいえ、まだまだ旅行へ行くにはハード […]

風と双眼鏡、膝掛け毛布

日本もとい世界には数多くの「地名」がある。それぞれの「地名」には「由来」が存在しており、長い歴史のなかで育まれてきた。 本書は北海道から沖縄に至るまでの全国津々浦々に訪れ、その地域に住む人びとの思いや生物たちの姿、さらには由来にいたるまでを探し求めた旅のエッセイ集である。 とはいえど、全国の地名をすべて追うのは本の厚さのみならず、取材が膨大となるため、金銭・体力的に難しい。そこで本書は日本にある「 […]

愉快な青春が最高の復讐!

本書は「紀行文」と言うべきなのか、それとも「青春録」と言うべきなのかはわからない。しかし社会人の新人が、同期と一緒に全国津々浦々を旅した記録であることは間違いない。とはいえど、「旅する」と書いたのだが、日程や移動距離がかなり長く、なおかつ移動や宿泊、さらには会社員生活自体も私でも考えられないようなものだった。しかしあり得ないような旅行や生活を送ったものが記録となって残り、いつしかそれが「青春」とな […]

東京のぼる坂くだる坂

コロナ禍でしばらく東京に行かないことが続いている。そのため東京は今どうなっているのかどうかもわからないこと・場所も多い。もしコロナが終息して行き来がしやすくなれば、少しばかり東京に行ってみようかなとは思っている。 その東京の体験の中でけっこう思い出に残っている場所が「坂」が多い所と、坂によっては山登りと感じてしまうほどの激坂もある。 本書は引っ越し好きの父が、転々とした場所を探す旅を描いている。し […]

ムイト・ボン! ポルトガルを食べる旅

今年は新型コロナウイルスの影響により、旅行が自粛しなければならないなど大きく制限される年となった。さらに言うと海外旅行となると、その度合いが強くなり、国によってはロックダウンも行われているほどである。 そういった時期には海外旅行は実際に行くよりも、本やガイドなどを通じて、妄想で行っていくことで、コロナ禍が終息したときの実体験への助力としていきたい。その中で今回紹介するのはポルトガルであるのだが、ポ […]

臆病な詩人、街へ出る。

中学の時代から詩を始め、高校になった頃には現代詩の中でも権威ある賞の一つである「中原中也賞」を受賞するなど、賞を総なめにしてきた。そのため「早熟の天才」と言われるようにまでなった。 しかし大学へ進んだ後は著者自身「冴えない女」と自称するようになった。なぜ「冴えない」と自称したのか、そこには、 就活経験ゼロ、恋愛経験も未熟。残されていたのは、世間知らずで平凡な「冴えない女」だったp.3より とある。 […]

皆川博子随筆精華 書物の森を旅して

私事ではあるのだが、私自身が書評を始めたのは2007年のことである。それから13年もの間、多くの本と出会うこととなった。数え切れないのだが、書評を行っただけでももう5千冊を超えている。本という書物に迷いながらも旅を続け、今に至っているのだが、この旅はまだまだ終わらない、もっと言うと一生終わらないかもしれない。 私事はここまでにしておき、本書は1970年代から約50年もの間文壇で活躍した皆川博子氏が […]

インスタント・ジャーニー

もしも世界一周の旅をするのであれば、数ヶ月ほどかかるかもしれない。しかも昨今は新型コロナウイルスの影響により、入国制限している国もいくつかあり、なおかつ旅行をするにもどうしても避けてしまうような時である。 ただ、空想の「旅」であれば、いつでもどこでも、何度でもできると言うのだから便利である。しかも本書はそれを行うことができるショートショートの一冊である。本書の帯には「1話5分」とあり、しかも全部で […]

いきぢごく

漢字に直すと「生き地獄」である。とある芸能事務所の会長が、とある番組で体験していることを連想してしまう。 それはさておき、本書は42歳のとある女性が父から相続することとなった遍路旅の日記を取り上げている。実はこの遍路日記は戦前に綴られたものであり、しかも大東亜戦争の前に当たる。当時は車もなく、なおかつ徒歩でお遍路をするため、足を始め、色々な所を痛めつけながらの旅であり、今のような人生とは、自分とは […]