旅を栖とす

ここ最近エッセイを読むのだが、たいがいは「旅」にまつわる本が中心となっている。仕事柄、旅行に行く時間もなく、なおかついざ旅行をする時間があったとしても、どこに行こうか迷っている間に時間が無くなってしまう性分である。そのためか旅らしい旅は人生において数えるほどしかない。

私事はさておき、本書の著者はバックパックで10年もの間、国内外を渡り歩いていた。その10年の旅の記録を綴ったエッセイである。アジア・アフリカ・ヨーロッパと様々な国々を渡るだけでも、その思い出は沢山あり、何冊もエッセイとして描けそうなのだが、本書は選りすぐりのものを15編にまとめている。その15編それぞれにおける旅の楽しさがこれでもかと言うほど伝わっており、擬似的に旅をしてしまっているような感覚に陥ってしまう。本書の著者自身が旅自体を「栖(すみか)」としていることが窺える一冊である。

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