いきぢごく

漢字に直すと「生き地獄」である。とある芸能事務所の会長が、とある番組で体験していることを連想してしまう。

それはさておき、本書は42歳のとある女性が父から相続することとなった遍路旅の日記を取り上げている。実はこの遍路日記は戦前に綴られたものであり、しかも大東亜戦争の前に当たる。当時は車もなく、なおかつ徒歩でお遍路をするため、足を始め、色々な所を痛めつけながらの旅であり、今のような人生とは、自分とは何かを見つめると言うよりも、本書のタイトルの如く「生き地獄」をそのままに表現しているような旅であったという。

しかもその「旅」は絶望の淵を彷徨い続けながら旅をして、最中に命を落とすという、今となっては想像もつかないような過酷な旅であったことがよくわかる。そして日記を読み耽った女性もまたこの日記の道を辿るかのような人生のように見えてならなかった。