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研究

魚にも自分がわかる ――動物認知研究の最先端

「認知」は人間特有のものではない。多くの動物には「脳」があり、その脳の働きなどにより、「認知」機能が備わっている。しかし動物によって、どのように認知されるかは異なる。 そこで本書である。本書は魚における認知機能がどのようなものなのか、現在の研究でわかっている所まで取り上げている。 第1章「魚の脳は原始的ではなかった」 元々動物にも種類があるのだが、魚類・両生類・爬虫類といったように進化をしてきた。 […]

熊楠と幽霊

昭和・平成・令和と生きた「知の巨人」というと、昨年4月に逝去した立花隆がいる。ジャーナリストなどの側面を持っていることから政治的なイメージも強いのだが、実は哲学・生物学などありとあらゆる分野に精通し、なおかつ知的欲求も旺盛だった。 そしてその「知の巨人」は過去にもおり、本書で紹介する南方熊楠(みなかたくまぐす)も明治から昭和初期にかけて活躍した「知の巨人」である。南方熊楠は博物学・生物学・民俗学の […]

「役に立たない」研究の未来

大学や研究所では常日頃から研究が行われている。普段の生活や技術革新などに役立てられるものもあれば、中には役に立たないものもある。もちろん未来の研究の参考となるようなノーベル賞級ものものもあれば、「猫は液体」や「スピーチジャマー」など役には立たないが思わずクスッとなるようなイグノーベル賞級のものまである。 そもそも研究自体はすぐに役立つと言えば大間違いである。研究によっては「基礎研究」と呼ばれる自然 […]

科学者の社会的責任

企業にもCSR(企業の社会的責任)と言うものがあり、社会の公器として、どのように貢献をして行くのかと言う課題を常々持っている。経済を動かしていく、社会を動かしていく「責任」を持つという側面もある。 一方科学者はというと、当然「責任」があるのだが、それは研究としての責任というイメージがある。しかしながら、科学の進化を担っており、社会でも関わっていくことを考えるとなると、こちらもまた「社会的責任」が問 […]

認知症の人の心の中はどうなっているのか?

認知症に関しての考え方は刻々と変わっていく。もっとも認知症はどのような嗜好を持っているのか、実際に認知症の患者を治療している医者の方々の話もあれば、認知症を研究しているのだが、実際に本当に認知症にかかってしまった時の心境を綴る本、さらには認知症でありながらも楽しく働いている店の姿など、ありとあらゆる視点の変化がある。 そこで本書である。認知症はどのような苦しみがあり、コミュニケーションがあり、見て […]

哲学しててもいいですか?―文系学部不要論へのささやかな反論

大学にまつわる議論の中で「文系不要論」と言ったことをよく聞く。文学部や哲学部などを不要とする議論であり、2014年の文科省の「国立大学法人評価委員会」の中で出てきたことである。この議論が出てきてから賛否両論が相次いだ。もちろん否定的な意見も多く、かくいう私も文系、もしくは文系学部が不要というのはいささか暴論過ぎると考える。 本書もその議論についての反論的な一冊というようなサブタイトルを名しているが […]

六波羅探題 研究の軌跡―研究史ハンドブック

「六波羅探題」とは、 鎌倉幕府の職名。承久の乱後,京都の政情を監察しかつ治安を維持するために設置した,政務・軍事を統轄する執政官。南北二名を定員とし,西国諸国の訴訟を聴断するとともに,有事の際は在京人をはじめとする京都近国の御家人を指揮する権限が与えられていた。六波羅守護。六波羅殿。「大辞林 第四版」より とある。日本で言う所では役割としては高裁、人的なポジションとしては与党の幹事長か、もしくは内 […]

博士の愛したジミな昆虫

昆虫というと、私の子どもの頃は昆虫採集を行うといった子どももいて、私自身も昆虫を捕ることもあった。いつしか私が虫が苦手になったのはまた別の話であるが。 それはさておき、ここ最近では昆虫食も認知が深まり出しつつある。最近のニュースだと無印良品が「コオロギせんべい」を販売し出したり、あるメーカーではコオロギビールなるものも出てきている。さらに言うと、食産業の代替として官民問わず食用の昆虫への研究も進め […]

ヒトは120歳まで生きられるのか 生命科学の最前線

世界的な長寿を見てみると、120歳以上生きた人物はいる。現在も疑義は絶えないものの、フランスのジャンヌ・カルマンが122歳まで生きたのが唯一である(かつては泉重千代が120歳まで生きたとあるが、信ぴょう性の疑義により取り消され、105歳に改められたのもある)。 人間の寿命は年々延びており、100歳を超える人も少なくなくなった。また100歳前後になっても矍鑠(かくしゃく・年老いても、丈夫で元気なさま […]

「さみしさ」の研究

「さみしい(寂しい・淋しい)」を辞書で引いてみると、 「1.もとの活気が失せて荒廃した感じがする。  2.欲しい対象が欠けていて物足りない。満たされない。  3.孤独がひしひしと感じられる。  4.にぎやかでない。ひっそりとして心細い。」(「広辞苑 第七版」より) とある。本書の中核はどちらかというと3.の意味にあたる。ツービートとして漫才ブームを牽引し、そして映画監督としても活躍するなど、いちお […]