昆虫というと、私の子どもの頃は昆虫採集を行うといった子どももいて、私自身も昆虫を捕ることもあった。いつしか私が虫が苦手になったのはまた別の話であるが。
それはさておき、ここ最近では昆虫食も認知が深まり出しつつある。最近のニュースだと無印良品が「コオロギせんべい」を販売し出したり、あるメーカーではコオロギビールなるものも出てきている。さらに言うと、食産業の代替として官民問わず食用の昆虫への研究も進められているという。ただ本書は食用研究ではなく、純粋な昆虫の研究についてである。多種多様の昆虫のサバイバル、さらには関係性など複雑怪奇の昆虫のことについてを追っている。
第1章「すみわけ、食べわけ、サバイバル!」
虫には様々な「棲み分け」があり、虫によっては縄張り争いをするようなものもいる。その争いの中には同じ虫、さらには天敵などの違う虫との戦いと言う名の「生存競争」がある。また競争から逃げることもまた「サバイバル」としてあり、特に本章ではモンシロチョウを引き合いに出している。
第2章「共進化が生んだ「オンリー・ユー」」
単純に生存競争するばかりではなく、「共進化」といって共に進化を遂げる、あるいは共存をする道を選ぶ昆虫もいる。その中で本章ではゾウムシ、ツバキ、アリの共進化について取り上げている。
第3章「敵か、味方か、関係はフクザツなのだ」
ハッキリと敵・味方を表すことができたら良いのだが、昆虫の世界はそうには行かない。敵味方が入り組むような複雑さがある。その複雑さを演じているのはアブラムシやハチといったものが挙げられるという。
第4章「外来種がやって来た!」
3年前に話題となり、つい最近も横浜で発見された強毒性の虫であるヒアリ。そのヒアリがどのような生態なのか、それよりももっとタチの悪いアルゼンチンアリも取り上げている。ちなみにメディアではヒアリが集中するのだが、なぜアルゼンチンアリが「もっとタチの悪い」かというと、毒性はないものの強烈なまでの繁殖力があり、なおかつ隙間から侵入して生物を含めモノ全てを破壊(特に機器では故障を起こす原因も作るという)するほどである。本章ではアリの他にも外来種のブタクサハムシなども取り上げられている。
第5章「多様なムシの集まり、食うか食われるか!」
虫とひとえに行っても害虫もあれば、益虫もある。私のように益虫を見ても害虫にしか見えない人もいるのだが。ただ虫もまた生き残るために様々な特徴を得てきたことは間違いない。食うか食われるかは虫同士もあるのだが、害虫駆除という人間との戦いもある。
ダーウィンの進化論にもあるように、生き残るためには「変化」を行わなくてはならない。その象徴として虫がいるのかもしれない。生き残るために、様々な特徴を得て、そして害虫となると、人間も駆除するために様々な技術や商品を生み出す。しかし虫も負けずにその技術や商品に強い虫が生み出される、生存競争の最中で生まれる虫には、研究者でも心躍るような種類や生態もある。そのことを本書にて知ることができる。
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