デッドライン決断術-ムダな仕事はネグれ!

前作「デッドライン仕事術」に続いての一冊である。リーダーと呼ばれる人物に求められるものとしてもっとも大きいのが「決断力」である。しかし昨今では「日本はゆすりの名人」という発言で有名になってしまったケビン・メアの著書に「決断できない日本」があるが如く、素早くかつ正確な「決断」を下せない日本人が多い。むしろ「考えます」「検討します」と答えを先送りしてしまうのが常になってしまっている。映画「コクーン」にある名言「考えすぎると人は臆病になる」という言葉を知らないように。

本書では日本の労働の現状から、デッドライン、そしてその中で「決断」をすることの重要性を説いている。

第一章「なぜ頑張っても幸せになれないのか」
かつて高度経済成長期は働けば働くほど「豊かになる」ようになっていた。言わば「やりがい」も「裕福」も達成できるため、自ずとがむしゃらに働くことができた。
しかし現在ではいくら「勤勉」であっても、「がむしゃら」に頑張っていても「報われない」時代となってしまった。ましてや「報われない」どころか「失業」してしまうような現状である。そのことから「過労死」や「自殺」が深刻な社会問題となってしまっている。

第二章「こんな時代にこそ求められるデッドラインの発想」
そのような時代にこそ「デッドライン」の考え方が重要であると著者は主張している。簡単に言えば「締め切り効果」であり、ある時間内に仕事を終わらせること、あるいは決断をすることによって、効率や生産性が上がるというものである。
元々その発想は以前から言われ続けているのだが、本書がでている限り、「わかっちゃいるけど、できない」というあきらめの概念、もしくは先入観があるのでは、と考えられる。
「案ずるより、生むが易し」
この言葉を肝に銘じて実践することが大切である。

第三章「リーダーは判断するのが仕事」
リーダーは決断力が大事であると言われている。その決断を高めるためにも「デッドライン」が大いに役立つという。さらにリーダーは平時は全体を見て、適宜指示や助言を行う程度でよく、むしろ有事の時にこそ前面に立って陣頭指揮を行うことが大事であるという。

第四章「「ネグる力」を身につけよ」
本書の副題に「ムダな仕事はネグれ!」とある。この「ネグれ!」とはいったい何なのか、というと「ネグレクト(無視)」からきており、要は「仕事をいかにして見切るか」というものである。
とは言っても、「どこからネグるのかわからない」もしくは「ネグるなんて甘ったれている」という考えを持たれる方もいるかもしれない。
しかし、本章ではそのことについて真っ向から否定している。むしろ情報の取捨選択を行う、その中で重要な情報を見極める力を短時間で集めるという点で重要な要素となり、かつ具体的な成果を短時間で得られるという。

第五章「個人もこの国もデッドラインで立ち直れる」
ここでは仕事と言うよりも、日本の政治といったマクロの観点から「デッドライン」の重要性を主張している。

第二章でも言ったとおり「デッドライン」は本書がでた以前からもそれに似た考えは存在している。しかし私たちはそれを形にしていなかったことから、重要性ばかり主張されても馬耳東風の如く、なにも成長できなかった。だからでこそ本書の重要性を学び、そして行動によって形にしていくことが本当の本書の価値に繋がる。本書はそのような一冊である。

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