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SF

オルガスマシン

「カスタムメイド・ガール(以下:ガール)」と呼ばれる女性型人形5体。それぞれの特徴、中には人ならざるような特徴を持つ人形たちである。男性の妄想・欲望を「忠実」に具現化させた姿であるが、その「忠実」さが歪なもののように見えて仕方が無い。 その欲望のはけ口となってしまったガールたちは叛乱を起こすという作品である。もっともガールたちの姿は挿絵として描かれているため、挿絵を見るだけでも嫌悪感を持つ人もいる […]

大人になる時

人は誰しも「大人」になる。その「大人」となる定義は肉体的に大人になることもあれば、人によっては精神的に「大人」になるという意味合いもあり、人それぞれとしか言いようがない。 本書はその「大人」になることについてをエピソードを綴った短編集である。しかし「大人」となると、良い部分もあれば悪い部分もあるのだが、本書はむしろ「悪い」部分の方が強く表れている。しかもその「悪い」部分が「ホラー」の如く描かれてお […]

静かな終末

2019年11月に逝去したSF小説の大家が残したショートショートのうち、本書は選りすぐりで50編収録している。 ちなみに収録されているショートショートの内容というと、SF作品と言うよりも日常的なものもあれば、日常的でありながらもナンセンスなタッチでつくられているもの。もっと言うとSFと、本当の意味で「多種多様」と言う言葉がよく似合う。 元々SF作品の大家であるが、それだけでなく、長編作品を生み出す […]

滅びの園

いつもある日常が突然の出来事で一瞬にして変わる。そのようなことは過去にも起こったことがあり、これからも起こることがある。しかし本書で出てくる「突然」は「未知」のものである。いわゆる「宇宙人」か「未確認生物」なのかは不明だが、有害で、無尽蔵に増殖し、地球を飲み込もうとする勢いで、「滅び」を迎える。 その危機的状況にある中で、登場人物たちはどのように相対するのか、そしてそれぞれの思いがどのように「交錯 […]

幾千年の声を聞く

不思議な一冊である。本書の冒頭を見るとオンラインゲームのスタートが出ているため、ファンタジーか何かのゲームを描いているのかと思ってしまう。もっともキャラクター・舞台背景・時代設定においてもどうもファンタジーのようでいてならなかった。 しかし本書を「不思議」たらしめる所なのか、各章の冒頭にて「定時観察報告」がある。ファンタジーのような展開を見せている一方で、「定時観察報告」の中に、登場人物ですら想像 […]

その果てを知らず

著者の眉村卓氏はSF小説を長らく描き続けてきた。その眉村氏の最期の一冊と言えるのが本書である。60年以上前にあるサラリーマンが小説の道を歩み出し、SF小説を描き始めた。やがてサラリーマンを続けながら作家人生を歩んでいった中で彼は何を見いだしたのかを描いている。 もっとも本書は「自伝的小説」とも言えるものである。主人公や境遇こそは架空であるものの、著者自身も元々は大卒後サラリーマンとなり、その中でS […]

君の心を読ませて

よく近未来の作品の中にはAIやロボットが出てくる。本書もロボットではあるのだが、「人の心が読めるロボット」と特殊な感じがある。人の心が読めるだけで、ロボットであるが故に、感情がない。それだけ本書の帯と、本書の表紙にあるロボットの帯を見ると何かサイコパスのようでいてならない。 ある天才が開発した美少女AIロボットと、そのロボットに信奉する男女6人がシェアハウスで暮らすのだが、突如ロボットが暴走。サイ […]

いずれすべては海の中に

クジラ・海・音楽と見ると、どことなく幻想的な雰囲気を持っている。本書もその例外に漏れないのだが、短編集でありつつも、SFやミステリーの要素もふんだんに詰まっており、なおかつファンタジーの要素もあるなど、「小説」の概念でできることのほとんどを短編集の中で行っているような感覚だった。 幻想とその物語にある「現実」がうまく調和されており、物語の中にある「喪失」を感じさせるようにつくられている。そう言う意 […]

楽園のアダム

本書はSFの枠を超えた一冊である。と言うよりもミステリーやSF、さらには恋愛に至るまでのジャンルを網羅していると言っても過言ではない。 本書の舞台は地球であるが、「大厄災」と呼ばれるほどの災害により、人口が一握りしかいなくなった世界の中でAIロボットによって制御された世界を描いている。平和と言えば平和であるが、「AIによって従わされた世界」と言う言葉がよく似合うのかも知れない。 その中で生きる主人 […]

数式に記された愛

本書のタイトルからして数学者が主人公なのかと思いきや、実は発明家だった。もっと言うと、「『愛』について数式を使って証明せよ」といった問題を解く物語なのかとも邪推したのだがそれでもない。 ではいったい本書はどのような物語かというと、発明家の主人公が不思議な数式に出会った。その数式には「愛」の原型が隠されていただけでなく、世界の火種となるようなものも隠されているものだった。その数式に秘められた暗号が、 […]