楽園のアダム

本書はSFの枠を超えた一冊である。と言うよりもミステリーやSF、さらには恋愛に至るまでのジャンルを網羅していると言っても過言ではない。

本書の舞台は地球であるが、「大厄災」と呼ばれるほどの災害により、人口が一握りしかいなくなった世界の中でAIロボットによって制御された世界を描いている。平和と言えば平和であるが、「AIによって従わされた世界」と言う言葉がよく似合うのかも知れない。

その中で生きる主人公があたかも、旧約聖書の創世記に出てくるアダムのような印象を受ける。しかも恋愛の描写があるように恋人もいるのだが、純粋であるが故の過ちもある。ミステリーでSFで恋愛作品であるが、あたかも「アダムとイヴ」と錯覚するような物語の流れであった。スケールの大きなSFであり、スリリングに描かれつつも、2人の姿がなんとも愛おしさが溢れていた一冊であった。

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