幾千年の声を聞く

SF

不思議な一冊である。本書の冒頭を見るとオンラインゲームのスタートが出ているため、ファンタジーか何かのゲームを描いているのかと思ってしまう。もっともキャラクター・舞台背景・時代設定においてもどうもファンタジーのようでいてならなかった。

しかし本書を「不思議」たらしめる所なのか、各章の冒頭にて「定時観察報告」がある。ファンタジーのような展開を見せている一方で、「定時観察報告」の中に、登場人物ですら想像し得ないような物語が生まれている。

ファンタジーもあれば、SFの要素があり、なおかつどれくらいの時の旅を行ったきたのかというスケールの大きさは他の作品を凌駕していると言える(最もどれくらいの時間についての解釈によって異なるのだが)。しかしその不思議な物語にある「核心」も本書にて散りばめられている。そこにも面白味がある。