武士道の教科書

「武士道」というと新渡戸稲造のことを思い出す。新渡戸稲造はこの武士道の英訳版をつくり世界中で武士道精神を教えた立役者である。それと同時に国際連盟の事務次長も務め、さらには台湾統治下では製糖の製造の指導を行い飛躍的に生産量を伸ばしたという。

本書はその武士道の解題的内容なのかと思ったらまず著者が会津藩第五代藩主の「松平容頌」であることからこれとは違う。本書は武士道というよりも「日新館童子訓」というものを解題するという1冊である。

これについて細かい解説をする。まず日新館についてだが享和三年(1803年)に庶民も通える子供たちのための藩校として建てられそこでは文学や礼儀作法のほかに兵学などの武道も教えられたという。その基礎的なものとなったのが「日新館童子訓」であるがこれは松平の命によってつくらせたものである。内容は全部で上下巻合わせて75話で構成されておりその中身は躾や仁徳に関してのことが書かれており童子たちの精神的なバイブルとなった。教育は半によって千差万別であるが、会津藩は教育に関して非常に熱心だったということがよくわかった。これにより武士の精神を学び「白虎隊」などのような血気盛んであり志をもった人たちができてきたきっかけとなったのではないだろうか。
新渡戸稲造の「武士道」とはまた違ったものが読めるので非常によかった。