大きなゴミ箱を買いなさい―幸運とチャンスを呼び込む「捨てる」法則

「捨てる技術」というのがあるほど、捨て方にも方法がある。
私自身ものをとっておくタイプであるので「捨て方」というのは学ぶ必要がある。
本書はモノに限らず様々な捨てるものを取り上げている。捨てるものがたくさんあるので本書のタイトルは「大きなごみ箱を買いなさい」となっている。

第1章「捨てれば「幸運体質」に変わります」
幸運やモノは循環する。まるで血液が循環しているかのように。いらないものはさっさと捨てることによって新しいものに切り替えることが大事であるが、捨てるのに躊躇する人、捨てても未練たらたらの人が必ずいる。いらないもの、後ろめたいものはすべて捨てる。例えば嫌なことや後ろめたいことがあったら紙に殴り書きして破って捨てるという手もある。しかし愛着のあったものは「ありがとう」を言って捨てる。これだけでも未練がましくはならない。私自身も引っ越しなどごみを大量に捨てる時にどれだけ「ありがとう」といってゴミ袋に送り出した事やら。

第2章「「成功」を引き寄せる捨て方」
前章では「捨てる重要性」というのが主であったが、ここからは具体的な「捨て方」である。「「捨てる!」技術」という本があるように、捨てるにも技術がいるという。自分の成功体験などの「過去の遺産」を捨てる、「プライド」を捨てる、「一生懸命」を捨てる(私自身一番の課題)、「がんばること」を捨てる(ある方の著書と似ているような)、「情報」を捨てるなど…、挙げていくだけでも枚挙に暇がない。「捨てる」と言っても様々なものがあるということには驚かされる。

第3章「「豊かさ」を引き寄せる捨て方」
「お金は「使ってくれる人」を選ぶ」という。同時期に発売された一冊を言っているのだろうかと考えてしまった。「金は天下の回りもの」「金はさびしがり屋」と言うが、「金は大事に使ってくれる人」を求めているという。お金はさびしがり屋で、繊細な性格をしているという、まるでか弱い女の子のように。
そして「ダラダラ時間を捨てる」は著者のもっとも言いたかったところであろう。「時は命なり」「時間価値」と言うが如く、時間の大切さというのを知っているからでこそこう言える。お金はいくらでも手に入るが、時間は誰でも24時間もっている。それをどのように生かすかで人生にしても大きく変わってくる。

第4章「運を引き寄せる「外見」のつくり方」
外見づくり。ダイエットなどによって自分自身を健康に保つことだという。
ゲンの良い服、自分の運気が上がる服を着ること、そして薄着を着ることによって自分に運を引き寄せ、自信を持たせるという。

第5章「運がいい人は知っている「人付き合い」のコツ」
「人」を捨てるというのが捨てるものの中で最も困難なものだという。簡単にいえば「縁を切る」。どのようにして円を切るのかというのが非常にシビアになる。そう言った時こそ「断り方」というのを身につけることが何よりも大切というように思えた。
最後に本書を読んでいる時ある言葉が頭をよぎった。

人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。
ぼくは逆に、積み減らすべきだと思う。
財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、
かえって人間は自在さを失ってしまう。
『自分の中に毒を持て』岡本太郎)」

「芸術は爆発だ」で有名な岡本太郎の言葉である。解釈は違えど蓄えや積み重ねによって自分で自分の首を絞めるという結果になりかねない。そのことによってせっかく得られるチャンスをみすみす逃してしまう。

「捨てる」のは確かに薄情なのかもしれない。しかしその思いっきりが後に大きな幸運を連れてくるということになる。

前にも言ったとおり、幸運やモノは循環する。自分でそれに歯止めをかけないようにしようと思った一冊であった。