離婚の心理学―パートナーを失う原因とその対処

現在日本の離婚率は、厚生労働省の調べによると2002年をピークに減少の一途をたどっている。ただしこれは組数によって測れている。減少しているとは言っても価値観の違いや家庭内暴力など離婚が絶えないというのも事実として挙げられる。本書は心理学的観点から離婚について考察を行っている。

第1章「二人の関係を終わりにするということは」
日本の離婚率は高いといわれているが、世界的にみたら韓国やアメリカ、ロシアと比べても低い(本書が採用している統計による)。ましてや最初にも書いているように日本の離婚件数は減少傾向にある。経済的な理由もあるのかもしれないが、もっとも離婚をすることにより精神的に苦しめられる理由も、逆に家庭内暴力から解放されたかのように精神的に解放され、鬱病などの病をいやすこともあるという。カップルそれぞれであるが、離婚によって慰謝料を受け取ることにより裕福になるものもいれば、貧乏になるものもいる。もしくは婚姻関係は解消されるが、完全に縁を切るカップルもいれば、「別れても好きな人」でいるようなカップルもいる。
「離婚」は良いものなのか悪いものなのか、カップルによってまちまちである、というしかない。

第2章「なぜ離婚してしまうのか」
離婚の理由は様々であるが、本章の最初にでてくる統計、アメリカの大規模調査というのがあるが、そこでは予想として浮気がトップと思っていたのだが、なんと「性格の不一致」がトップとして挙げられていた。「浮気」はその次に多かった。
離婚という一括りでも、家庭内暴力もあればセックスレスによる原因、もしくは片方が働きたいという理由で離婚をするケースもある。若くして結婚して、すぐに離婚というケースもあれば、結婚して何十年もたって、もうすぐに金婚式だというのに熟年離婚をするというカップルもいる。
本書では離婚をする原因を年代、結婚年数、さらには性格、財力に至るまで、事細かに調査されている。
そこでどのような傾向を持ったカップル、人だったら離婚をするのか本書の一部を抜粋してみると

・神経質な人
・パートナーの報告があるカップル
・若年層

などが挙げられている。

第3章「浮気でもしてみなさいよ」
統計的にもっとも多いわけではないのだが、大池以降にあるのが「浮気」である。その浮気について、男性がその傾向が強いといわれているが、それはなぜなのか。
本章では「雄牛理論」を採用している。「雄牛理論」は映画「恋する遺伝子」がきっかけとなって定義され「男性は必ず浮気をし、女性を捨てる(p.103より)」という理論である。
実際に男性の浮気が挙げられやすいのは、女性に関して敏感な女性の直感によるものである。おそらく目移りしやすい男性を振り向かせないため、もしくは捕獲した獲物(男)を離さないために与えられた力なのかもしれない。

第4章「別れさせないために」
離婚は仕方がないのかというとそうではない。離婚を未然に防止をすることのできる方法は本章にて「コーピング理論」を中心に取り上げられている。「コーピング」は簡単にいうと「ストレス解消法」である。夫婦生活を送っていると、ストレスが解消される時もあれば、ストレスを蓄積してしまうというときが少なからずある。しかしそのストレス解消法も、ストレスが蓄積される原因、もしくは夫婦喧嘩となる原因を明らかにしなければ、ストレス解消どころか逆にストレスが蓄積され、最悪の場合離婚となってしまう。
ここでは口論や暴力、浮気などケースごとにどのようなストレス解消を行うべきかについて書かれている。

最終章「離婚から立ち直るためには」
いくら手段を講じても離婚という道しかなかった。当然愛し合うことによって結婚という道を開き、そして喜べた反動からか、離婚するとどこと無い寂しさや苦しみというのがある。当然ストレスとなって返ってくるため本章もやはりストレス解消法が存在するがここでは再婚や結婚以外の女性とのつきあい方などが紹介されている。

「離婚」は夫婦生活のピリオドであると同時に精神的なリスクを背負ったり、解放したりすることでもある。それを防ぐこと、そこから立ち直ることは山ほどあるが、「自らの傾向を知る」ことによって離婚を未然に防ぐ手段も存在することが本書の中で理解できる。

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