現在は神奈川県知事として辣腕を振るう黒岩氏であるが、黒岩氏と言えば「報道2001」を連想する方も多いことであろう。
本書は「報道2001」でのエピソード、フジテレビ報道記者、ディレクターのエピソード、さらには東日本大震災の著者の体験を織り交ぜながら情報とはなにか、それを救い取る力について伝授した一冊である。
第1章「テレビと新聞は「本当に」終わったのか?」
メディアに関する本は少し前まで重点的に読み、かつ当ブログでも取り上げた。ネットの隆盛は以前からすっと言われてきたことであるが、東日本大震災ではTwitterやFacebookなどが連絡・報道手段として大活躍した。それ以前にも、当時渦中にいた小沢一郎がテレビではなく、ニコニコ動画の生放送に出演した。
テレビや新聞は視聴率や購買部数が右肩下がりとなっており、形だけをみると衰退の一途を辿っているように見える。とはいえ未だに主要メディアとして扱われることが多い。
このまま衰退して消滅してしまうのだろうか、というのは前にも述べたが、消えることはないが、メディアとして変わらなければならない。これまで主要メディアとして扱われてきたことからの「驕り」を抜けだし、メディアとしてのあり方を業界全体で考え直すことから始めることが第一優先と考える。
第2章「情報にだまされない「目」を養う」
「こんな国民に誰がした!」
「こんなメディアに誰がした!」
という本やコラムをよく見るが、もっとも悪いのはメディア、国民双方である。しかし、メディアや評論家といった人たちはそういったことすら考えず、相手に責任転嫁させている。もっと言うと「天に唾を吐く」ようなことを平気で行っているわけである。
話を戻す。情報の捉え方は人それぞれであり、持っている情報を元に新たな情報を分析することがほとんどである。しかし情報を捉えるには、その情報に対して「疑問」を持つことが大事であると著者は主張している。ネットからでてくる情報はテレビや新聞を遙かに凌駕している一方で、玉石混淆であるという負の側面を持つ。だからでこそ「疑う力」を持つことで情報を正確に捉えることができる。
第3章「最短距離で真実にせまる情報入手・分析術」
情報を入手するには様々な手段がある。一つはネットや新聞などのメディアから拾うこと、一つは書籍から拾うこと、そして自ら足を運んで拾うことである。
その中でもっとも新鮮で正確で考えさせられる「情報」と手に入れられるのが「自ら足を運ぶ」ことにあるという。ほかにも視点を変える、深く読む、聞く耳を持つなどがあげられている。
報道記者・ディレクター、そしてキャスター時代から情報をすくい取る力を身につけ、それが「報道2001」でのインタビューの根幹になった。数多くの政治家を見続け、私たちでは決して知り得ない側面まで本書では言及している。
その側面が見ることができたが、今度は著者の番、といえるのが現在であろう。
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