「松田優作」と「ファウスト」
まさに異色の組み合わせといっても過言ではない。元々著者は松田優作を心酔し、かつゲーテの「ファウスト」に衝撃を受け、この組み合わせを考案したのかもしれない。
松田優作の作品というと、私の中では「探偵物語」と「太陽にほえろ!」を想像してしまう。とりわけ後者は今にも語り継がれるほど有名な台詞も残っているほどである。
では本書ではどのように組み合わせられているのかというと、舞台は松田優作のホームグラウンドといえる「映画」である。その映画が作られるまでのプロセスを描いているのだが、その中で「ファウスト」の作風が漂ってくるという形である。
松田優作の作品を見て、それでいてファウストの雰囲気にも慣れていくことによって本書の魅力が表れるため、なにも知らない人が読むよりも松田優作ファンの人たちに受けやすい一冊である。いわゆる「通」好みの一冊といえる。
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