ビジネスの上で「数字」は欠かせないものである。論拠を持つだけではなく、結果の要素の一つとして、あるいは目標や現状把握の材料としても使われる。
だからでこそ「数字」を操る、知る力の一つとして「数学力」が最近ビジネス誌にて取り上げられている。
本書はその起爆剤となった一つとして、「若手」「駆け出し」と呼ばれる私たちのような世代がどのような「数学力」を身につけたらよいのか、元国税庁出身であり、一部上場企業で数多くのプロジェクトを成功に導いたコンサルタントが伝授している。
Step1「なんでも数字にしてしまう」
最初にも書いたとおり、ビジネスの上で数字は欠かせない。だからでこそ、数字に定義しにくいものも「数字」にしてしまう重要性を説いているが、数字にするだけでは謝った判断になりかねない。だからでこそ「数学」のコツとして「刺さる見せ方」などを伝授している。
Step2「「目標の達人」になる」
目標を立てる重要性もあるのだが、それを具体的な数字に落とし込むことによって、具体的な行動や計画に落とし込むことができる。
その目標も机上の空論とならないように、「PDCAサイクル」とするが如く目標にズレが生じた場合、フィードバックしつつ軌道修正することも本章にて述べている。
Step3「「プロの分析力」を手に入れる」
私自身、大学では統計を専門としていた。そのせいか統計データをみる度に、どのソースで、どれくらいの期間のデータを用いてグラフにしたのかをついつい見てしまう。
私事はここまでにしておいて、巷で見る統計データは見方やデータ量によって結果や視点が大きく変わってくる。そのカラクリを見破り、正しい判断に導くことができる力として「分析力」を挙げている。
Step4「難題をシンプルに解決する」
ビジネスの世界では時として「難題」と呼ばれるものにぶち当たることがある。むしろ今のビジネスは「難題」だらけ、というべきか。
その難題をシンプルにするための方法、「白」か「黒」かの二択にするよりも、様々な「グレー」と呼ばれる回答をつくりつつ、最適解を見いだすことを本章にて伝授している。
Step5「仕事の「質」を変える」
「仕事」と「作業」の違い、それは「価値」がつくかどうかの違いにある。
「作業」は言われたとおりの作業を、言われたとおりの方法や手順でもってつくり、想定通りの成果物を得ることができる。しかし「仕事」はその作業に「ヨリ」を加えることによって成果物に「付加価値」を加えることができる。それこそ「仕事」と呼ばれる要因だが、その「付加価値」をより高めていくために本章では意志決定など付加価値を高める方法を伝授している。
ひとえに「数学」を身につけたからといって、ビジネスに直結しなければ単なる「知識」でしかない。その「数学」をビジネスに直結できるようになれば、数字が蔓延しているビジネスで大きな武器の一つと言える。本書はその数学を伝授しているわけであるが、今まで学校の授業で「数学」アレルギーを持っている人でもすらすら読めるように作られているところも魅力の一つである。
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