タイガーズ・ワイフ

一言で言えば「虎の嫁」と言える作品。「嫁」とはいっても年端のいかない少女のことであり、虎と心が通じるからそう呼ばれたのだという。

本書は紛争の戦禍により被害を受けた動物園も舞台の一つとなっている。その紛争の描写はあまりにも生々しいのだが、事実著者はユーゴスラビアの紛争に巻き込まれキプロス・エジプト・アメリカにと渡り歩いた経歴があるため、その記憶を残している。その紛争の中で著者の周りの人の「死」も見てきた。人間の醜さも見てきた。

そして戦争そのものの「異常」と言える空気と姿を触れた。その姿が「不死身の男」と「虎の嫁」にありありと描いている。同年代の若手作家の作品であるが、それを感じさせず、むしろ独特な描写が引きつけられる感が強かった一冊であった。

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