鉄道は明治5年に新橋~横浜間に初めて敷設されて以来ずっと交通インフラとして欠かせないものとなった。しかし私は大学に入学する前までは全くと言っても縁遠い者であった。大学時代も小樽・札幌間くらいしか行かなかった。電車が重要な交通手段として認識できたのは東京に初めて訪れてからのことである。
私事はさておき、本書は鉄道と国家の関係について述べられているが、1985年に民営化された前後とそして現在の新幹線技術輸出を中心に考察を行っている。
第一章「鉄道は国家百年の大計」
冒頭にも言ったように、明治5年に初めて敷設されてから来年140周年を迎える。
当初から国主導で行われ「国富」の象徴と言われているが、その鉄道に関しての「線幅」について、そしてそこから派生する「新幹線」についての問題は山積している状態である。
第二章「日本の鉄道を創った政治家たち」
井上勝や後藤新平と鉄道敷設に尽力した政治家、さらには新幹線敷設を支えた佐藤栄作などの人物と鉄道敷設への変遷について紹介をしている。
第三章「「我田引鉄」で生まれた鉄道」
本来の四字熟語にある「我田引水」の「水」を「鉄道」の「鉄」を当てはめたものである。
鉄道路線を地元への延伸をしたことからきているのだがそれを実行した政治家と路線について紹介している。
第四章「政治が生み出す停車場」
政治家の一存によって駅が新設されたり、職権濫用による事件もあれば、鉄道路線などによる政治的なやりとりも少なくない。これは昨今の新幹線延伸に関しても同じ事が言える。
第五章「鉄路存亡を左右する政治の力」
国鉄の民営化する前も後も政治の影響は残っている。しかし国鉄時代は政治的な影響は色濃くあり、赤字ローカル線の存続のために動く政治家もいた。
第六章「海外への日本鉄道進出」
日本の鉄道や電車、新幹線技術の海外への提供は現に行われているところもあるのだが、本章で焦点を当てているのは中国や台湾といった技術輸出と国家認識の違いについて論じている。
鉄道と政治は民営化した今でも切っても切れないものである。そもそも国と鉄道は国有化をしており、それが約120年ほど続いたのだから民営化をしていても完全に「国」から離れるのは難しい。本書はそのことを考察したのではないかと思う。
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