日本鉄道史 幕末・明治篇 – 蒸気車模型から鉄道国有化まで

東京駅が開業して来年で105年を迎える。今から4年前のちょうど100周年の時には東京駅でセレモニーが行われたことは今も覚えている。しかし東京駅が開業する以前から鉄道があり、19世紀末にはすでに存在したという。しかし鉄道が敷設せれ、使われるようになったきっかけとは一体何か、本書はその歴史を紐解いている。

第1章「鉄道時代の到来―ペリー来航から廟議決定へ」
本章を見るに鉄道は文明開化の象徴の一つであるという。その理由としてペリーが日本に来航の際の献上品として蒸気機関車の模型をプレゼントしたという。そのことから日本人は鉄道に興味を持ち、イギリスなどの欧州に留学し、鉄道を学び、そして日本に取り入れる準備を行ってきた。そして本章のサブタイトルにある廟議決定(びょうぎけってい:今でいう政府の閣議決定や可決のようなもの)は1869年12月のことである。

第2章「「汽笛一声」からの道のり―鉄道技術の自立」
廟議決定が決まったとしても根強い反対論が多く、政府に対する不信もあったという。それでも政府を中心に関東・関西とで鉄道の敷設が行われるようになった。関東では新橋―横浜間、関西では大阪―神戸間で同様に敷設された。本章では敷設開始から、開業までのプロセスを詳しく取り上げている。

第3章「東海道線の全通―東と西をつなぐ幹線鉄道」
元々東海道線がスタートしたのは東京ではなく、新橋からであった。そこから先は静岡名古屋、大阪を経由して終点は神戸となっている。その後ルート変更なども行われたという。さらに東海道線とは反対に「中山道」があり、そこは東京をスタートし京都で終点を迎える道であるが、その道の歴史についても取り上げている。

第4章「私設鉄道の時代―鉄道熱と鉄道敷設法」
これまで取り上げた鉄道は国有の鉄道、後の国鉄やJRの系統に入る。本章では打って変わり、私鉄の誕生から敷設の歴史に至るまでのことを取り上げている。

第5章「鉄道開通がもたらしたもの―生活と社会の変容」
鉄道が開通し、新たなインフラができたことによって生活や社会にどのような影響を及ぼしたのか、本章では旅行・運搬・産業など様々な角度から取り上げている。

第6章「国有鉄道の誕生―帝国鉄道網の形成へ」
今のJR、一昔前の国鉄と呼ばれる「国有鉄道」がいつ頃生まれたのか、そしてそれがどのような形で全国に広がっていったのか、そのことを取り上げている。

日本の鉄道の歴史は100年以上になるのだが、その歴史の中で、日本における産業の発展もあった。さらには戦争もあり、そして経済の成長を経て現代へと至る道があった。鉄道がたどる歴史の道は今もなお続いており、これからどのような進化を迎えるのか、定かではない。