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ミステリー

全能兵器AiCO

本書の表紙を見るにあたり、「近未来」をイメージしてしまう。舞台は国際航空の現場の中で新たな兵器を誕生させるための実験が行われた。しかしその実験の中で突如航空機・偵察機が一緒に墜落するという事件が起こる。もっとも故意による「事故」なのかと思ったが、実はそこには「事件」となるようなトリックがあった。 そのことから「近未来ミステリー」とも呼ばれる一冊であるが、国際間で起こる「インテリジェンス」と呼ばれる […]

ギンイロノウタ

ミステリー小説の中で殺人事件が多くあるのだが、これほどまでに残酷な殺人がある作品は見たことがない。しかもその「残酷」さは殺人事件の現場ではなく、むしろその殺人を行った人の「殺意」にまで及んでいる。もっとも殺意が自閉症傾向などの境遇や性格からか、限りなく歪なものになり、そのいびつさがミステリーの要素に深みを加えている。 登場人物、それも殺人犯の性格の歪さが今までのミステリー作品とは一線を画しているこ […]

どんぶらこ

本書のタイトルを想像するに桃太郎が桃から生まれる前の桃が川に流れるときに出てくる音を表しているのだが、本書はその「流れる音」をあたかも人生のように表している。 しかし「どんぶらこ」と流れる音は一瞬であり、その一瞬の中で殺人事件が起こり、その「鬼」と呼ばれる犯人を追うというような作品である。 その流れがいかにも「桃太郎」のような雰囲気を持つのだが、その流れの中は「桃太郎」で語ることができるほど、簡素 […]

パリ症候群 愛と殺人のレシピ

日本とフランス、その2つの国の間で紡がれる物語がある。本書の人物たちは日本人であるのだが、その中でパリに滞在する従妹がいるのだが、無くなり遺品整理のためにパリに渡った主人公が基軸となっている。 日本とフランス、両国の中でどのような物語が紡がれていったのか、そして従妹の死因とはいったい何なのか、そのことをひたすら追っていった作品である。 描写の中で事細かにパリの事情や生活、文化、社会に至るまで著者自 […]

ヒワマン日和

「ヒワマン」は漢字に直すと「日和満」という。その「日和満」は何なのかと言うと本書のタイトルにあるヒーローの名前なのだが、そのヒーローは日常の平和の中に満足するというのか、それとも日常の中に織りなす中で出てくる敵なのか、それは何かわからないのだが、日常の中に起こる「事件」は必ずと言ってもいいほど存在する。 ちなみに本書は連作集なのだが、舞台は京都・関東・広島と大きく変わっている。しかしながら舞台は違 […]

流転の細胞

「万物は流転する」という言葉を思わず思い出してしまう。最もその言葉を出したのも古代ギリシャ時代の哲学者の一人であるヘラクレイトスである。もっともその「流転」は哲学のみならず、仏教の中にある「輪廻転生」にも通ずるものがあり、哲学はおろか、宗教にも根付いていると言っても過言ではない。 本書はその「流転」を医療ミステリーの観点から紐解いた一冊である。本書の表紙にもある通り「赤ちゃん」がカギとなる。そのカ […]

スタート!

私自身あまり映画を観ないのだが、映画を少し観てみたいという願望はある。もっとも仕事が立て込むことが多く、映画を観る暇がないといった方が良いのかもしれないが。 私事はさておき、映画に限らずどのような世界にも「本気」はある。その「本気」を紡ぐことによって最高のものが出来上がってくる。その「本気」が映画の世界ではどのようなものなのかを本書にて描いている。 もちろん映画業界の闇や現状と言ったところも余すと […]

筆跡はお見とおし

筆跡鑑定というのがある。もっとも犯罪捜査でも使われるのだが、他にも占いでも性格や未来などのことについても見ることができるものである。 ちなみに本書は最初で述べた「筆跡鑑定」を使った犯罪捜査があるのだが、それを元にして事件を解決していくミステリー小説である。難事件であるのだが、その証拠の一つとしてとある「落書き」があるのだが、その落書きはどのような事件との関連性とメッセージが残されていたのかが主軸と […]

やみ窓

結婚して間もなく最愛の夫が亡くなってしまい、未亡人になってしまった女性がアルバイトで生計を立てているのだが、その女性が義母たちの罵倒をはじめとした様々な地獄を体験していくことになる。それはドロドロとした人間関係を織りなすものであり、なおかつその人間関係の「闇」が描いている。それは自分自身とその周囲に映る「鏡」、その鏡の元となるのがガラスであり、そのガラスは「窓」としても扱われる。本書のタイトルはそ […]

カマラとアマラの丘

私自身長いこと遊園地に行ったことがない。そのいったことのない遊園地がもしも廃墟であったのならどうするか。私の場合だったらそんなことすら考えたことがないと思う。 そんな本書は廃墟となった遊園地が舞台となるミステリー作品であり、様々な動物の「墓場」であるという。 その墓場に眠る動物たちの名前は何とも奇想天外な名前であるのだが、その名前にはある「意味」があり、その意味を一つ一つ解き明かしていくとともに、 […]