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ミステリー

ポースケ

小説はスリリングさもあれば、ふわりとした感じのある作品まで存在する。その存在する中で本書はどのような立ち位置なのかというと後者にあたる。もっともミステリーの要素はないのだが、アットホームさが溢れており、なおかつ登場人物それぞれの生き方がありありと分かるようにつくられている。つくられているからでこそ、個性が出て、物語の面白さを引き立たせる。 それぞれの「優しさ」を持ち合わせながらも、女性ならではの「 […]

噓と人形

一言で言えば「変な小説」である。私小説というわけではなく、著者の名前、さらには自信がレギュラーコメンテーターを務めている番組なども紹介し、その傍らで架空のミステリーを展開するというものである。 もちろん著者自身を冒頭からくどいように出てくるのだが、その著者自身がある意味裁判にかけられているようなタッチで、なおかつ猟奇事件に仕立て上げている。。 もちろんフィクションなのだが、著者が自分自身で十字架に […]

深海の寓話

定年になると様々なチャレンジをしたくなる人もいる一方で、リタイアとして余生をただ過ごすだけの人がいる。本書の主人公は元刑事で静かな余生を過ごそうとするのだが、ある事件に巻き込まれ、様々な人物と親交を深めることとなる。 その親交を深めた人々との間に主人公と同じように様々なキャリアから一線を退き、リタイアの人生を歩むこととなった。しかしそのリタイアをした人々と、事件に巻き込まれた犯人の人々との間にはド […]

ゼンマイ

ゼンマイというと山菜の一つであると同時に、人形やロボットと言ったものを動かす基礎となるものを表している。 本書はある人が残したゼンマイの在処を巡ってモロッコへと旅立つ珍道中である。モロッコというとまさに奇怪であり、なおかつ男2人を考えると旅の道中はトラブルがいくつもつきものとなってくる。日本でも古典の中に「東海道中膝栗毛」があり、数多くの改作が組まれ、男2人旅の珍道中を描いている。 では本書はその […]

失踪.Com 東京ロンダリング

失踪者は毎年のように出るのだが、そもそも失踪者と言うと理由もあれば、理由もなく失踪をする人もいる。その失踪者がいかにして生まれたのか、本書ではそこに事故物件が住んでいる人々であるという。その事故物件をロンダリング(洗浄)する業者が再び動き出した。 しかしそのロンダリングをするような人々に対してとある「妨害」があった。その妨害は一体だれが、そしてどのように行われてきたのか、それを負っていくうちに事故 […]

死の天使はドミノを倒す

とある事件が起こり、警察や検察、弁護士といった人間が関わる。それらの人物の周りには必ずと言ってもいいほど「ミステリ」と呼ばれるものが出てくる。 本書はそれらの他にも売れない作家や編集者などが交わり、「文章」に携わる方々も巻き込んだものである。そこにはある「事件」が共通しているのだが、その事件が「死の天使事件」である。 では「死の天使事件」とは一体どのような事件なのか、そしてなぜ謎に包まれたのか、関 […]

シンデレラの告白

中世から近世にかけてのヨーロッパでは魔女裁判が横行し、陰湿な社会となっていった。その社会の中で生きるとある姉妹は、姿から「鬼」と称されるほど外見は醜い一方で、心の美しさは存在した。 その心の美しさをいかにして表していくのか、密告や魔女裁判などのような醜い社会の中でどのように光り輝いていくのかも描いている。 中世ヨーロッパの歴史を事細かに研究して描いているだけでなく、人としての生き方、そして人とは何 […]

COVERED M博士の島

瀬戸内海の小さな孤島を舞台にした物語であるのだが、その舞台にとある医療研究の材料を集め、行うのだが、その「医療」は「美」を追究するものであるという。 その追究に対してある主人公は当選をすることになった。人生に絶望をしながら、そこから脱するために全身整形を受けるのだが、その受ける舞台が孤島というのも突っ込みどころがあるのだが、その舞台で手術・研究を行う博士の死体が見つかった。そこからミステリが始まる […]

落語魅捨理全集 坊主の愉しみ

落語の世界は様々なストーリーを紡いでいる。もっとも滑稽な話が多いのだが、三遊亭圓朝や初代談洲楼燕枝が作った落語の中にはミステリー要素のあるものもある。中でも有名なものとして三遊亭圓朝が創作した大作「真景累ヶ淵(しんけいかさねがぶち)」といったものがある。怪談噺であるが、かなりミステリー要素が埋め込まれており、落語好きな人々にとって怖さと面白さが垣間見える。 本書は滑稽や人情、さらには長屋噺といった […]

亀と観覧車

奇怪なタイトルのように見えるのだが、観覧車は「夢」、亀は「現実」に見立てることができる。生活保護を受けている家族が高校生でありながら、働きながら高校に通っているとある女性が主人公である。その高校のクラスメイトから「クラブ」に誘われるが、その「クラブ」もまた「観覧車」に見立てているのではないかとも思ってしまう。 しかしそのクラブにはとある初老の男がいた。その男との出会いにより苦しい現実から一縷の「希 […]