小説

失踪者は毎年のように出るのだが、そもそも失踪者と言うと理由もあれば、理由もなく失踪をする人もいる。その失踪者がいかにして生まれたのか、本書ではそこに事故物件が住んでいる人々であるという。その事故物件をロンダリング（洗浄）する業者が再び動き出...

「母を訪ねて三千里」という作品がある。本書はその作品に少し似ている部分があった。先述の作品は母を追いかけて遠い国へと自ら旅をした。一方本書の場合は「母を探して」と言う部分で共通するところであるのだが、主体となって動いているのはその母の恩師で...

とある事件が起こり、警察や検察、弁護士といった人間が関わる。それらの人物の周りには必ずと言ってもいいほど「ミステリ」と呼ばれるものが出てくる。 本書はそれらの他にも売れない作家や編集者などが交わり、「文章」に携わる方々も巻き込んだものである...

本書のタイトルと言うと、今から15年前に映画が公開され、大人気を博した作品といて有名であるのだが、本書はそれとは全く関係がない。しかし卓球小説であることには共通するものである。 先述の映画の主人公は高校生である一方で、本書は中学生である。中...

家族は旅をしていたのだが、その旅の最中に家族と抜け出し、友人の別荘に身を隠すことになった。しかしその身を隠した先で「食」の地獄に身を投げることになった。その食を逃れるための旅と逃走に対して、結局のところ「食」の尊さと言うよりも、そのものの「...

中世から近世にかけてのヨーロッパでは魔女裁判が横行し、陰湿な社会となっていった。その社会の中で生きるとある姉妹は、姿から「鬼」と称されるほど外見は醜い一方で、心の美しさは存在した。 その心の美しさをいかにして表していくのか、密告や魔女裁判な...

瀬戸内海の小さな孤島を舞台にした物語であるのだが、その舞台にとある医療研究の材料を集め、行うのだが、その「医療」は「美」を追究するものであるという。 その追究に対してある主人公は当選をすることになった。人生に絶望をしながら、そこから脱するた...

どんな戦いや行動にも「後始末」は必要であり、その後始末はいったい誰がやるのかと言うのもカギである。本書は戦国時代における戦の後始末であるのだが、その中でも「負け戦」の後始末は大変なものである。どのように大変なのかと言うと「負ける」というネガ...

「まっぷたつ」と言っても物理的にそうなったら怪奇小説であるのだが、本書はそうでなく、人格、あるいは時間軸的に「まっぷたつ」を表している。「時間軸的」というのが本書において最も重要な要素であり「現在」の自分と「過去」の自分それぞれを表している...

「謎が謎を呼ぶ」と言うのはミステリ小説の常套句であるのだが、その常套句らしさを出しているのが本書と言える。本書は短編集であるのだが、他の短編集と異なる要素がある。それは「全編完全に自作ではない」ことにある。とどのつまりオリジナル小説もあれば...