小説

書評

ラベルのない缶詰をめぐる冒険

突然だが、もし「ラベルのない缶詰」があったら、あなたは入っている中身について何を連想するだろうか。 ごく普通にあるものというと、コンビーフや焼き鳥、野菜、スープ、煮魚…など挙げてみると枚挙にいとまがないほどである。しかし本書に出てくる缶詰は...
書評

団地の女学生

「団地」と言う言葉はもはや死語になりかけているのかもしれない。公営の集合住宅がコミュニティをつくり、「団地」と言う言葉が広がりを見せた。高度経済成長期の頃である。しかし現在は高級マンションなど集合住宅は増加していったが、当時「団地」という言...
書評

ミラコロ

皆さんの故郷はどこか? 私は北海道の旭川という所である。「都会」と言えば「都会」。「田舎」と言えば「田舎」。「都会」と「田舎」を足して割る2をしたらしっくりと来るかもしれない。 私事はさておき、本書は故郷から最後の映画上映会のチケットが届い...
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書評

預言

本書を紹介する前に、「予言」と「預言」の2つの言葉の違いを紹介したい。 「予言」・・・未来の物事を予測して言うこと。また、その言葉。 「預言」・・・キリスト教で、神託を聴いたと自覚する者が語る神の意志の解釈と予告。また、それを語ること。(い...
ミステリー

キッド

本書は死体遺棄幇助を題材にした一冊であるが、その「死体遺棄」にまつわる作品だと暗く、かつ陰湿な印象を持ってしまうのだが、本書はそのような印象は無く、むしろハラハラ・ドキドキ・痛快・爆笑と言うように、どちらかというとポジティブな印象をもってし...
書評

エゴイスト

「愛とは何か?」 本書を読んでそのことを私の胸に突きつけられた。親子愛、歪んだ愛、それぞれ形の違った「愛」が交錯していた。14歳という心的に「思春期」と呼ばれている時期に母が亡くなった男と、病に冒された母を抱える男の関わりの物語である。友情...
書評

花鯛

本書は短編集であるが、章立てがすべて海の生き物である。鯛は鯛でも「花鯛」はどのような鯛なのか。 花鯛の本当の名前は「チダイ」と呼ばれており、それを関東地方では「花鯛」と呼ばれている。血の色の様な鰓(えら)をもっていることから「チダイ」と名付...
書評

ギンガ

小説を読むと不思議な感覚に見舞われるが、本書は今までの小説の中でも最も不思議な一冊と言える。関西から世界へ、そして世界から関西へと移るバンドの物語であるが、風変わりさはまさに良い意味での「奇天烈」な作品と言える。 確か、内容にも「訳のわから...
書評

こちらあみ子

本書は第26回太宰治賞を受賞した作品を含めた短編集である。ちなみに賞を受賞した作品名はそれではなく「あたらしい娘」というタイトルだった。 個人的にタイトルと内容を照らし合わせると改題したあとの「こちらあみ子」の方がしっくりと来る。理由は簡単...
ミステリー

B/W(ブラック オア ホワイト) 完全犯罪研究会

物語は児童失踪事件から10年経った時から始まる。この事件とこの事件の犯人、そして「日本犯罪史上もっとも有名な被害者」の女性が交錯した作品となっている。 ミステリー小説の中でも、本書ほど戦慄の走った作品はない。むしろミステリーであり、推理モノ...
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