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季節

ふりかえる日、日―めいのレッスン

物語は、突然の出来事などから起こることもあれば、何気ない日常からも生まれる。特に何気ない日常の中にも多少なりの「変化」があるのだが、その「変化」のあり方が、日々の物語を紡いで行く。 本書は主人公の姪が日々触れるあらゆるものに耳を澄ませて成長して行くと言うものである。五感のうちの「聴覚」によって春夏秋冬を描き、なおかつ物語として織りなしていく所に魅力がある。 ショートショート形式にて描かれており、タ […]

五つの季節に探偵は

人間には感情や理性の他に、「心」がある。しかしこの「心」が厄介で、表に出てくる心境もあれば、誰にも悟られることのない心の「闇」の部分もある。その「闇」の中に、隠された「本性」がある。 その「本性」を暴かずにいられないとある探偵が16年の長い月日の中で5つの事件と出会った。それぞれ春夏秋冬、そしてもう1つの春と合計5つの季節で以て描かれた短編集である。 一番古いものとして2002年春、そこから200 […]

それは桜のような恋だった

「桜の季節」というと、言うまでも無く春である。しかし少し細かくなると桜の開花時期は地域によって変わるため、厳密に言うところの「桜の季節」は変わってくる。例えば九州から本州までは3月末~4月初めが見頃である一方で、沖縄は1月末~2月頃、北海道に至っては4月末~5月上旬が見頃となる。 それはさておき、桜の季節というと出会いと別れの季節である。その中でも特に別れは印象的になってくる。本書の舞台は京都。と […]

沈むフランシス

本書のタイトルにある「フランシス」は川のほとりにある木造家屋の名前である。 本書の舞台は北海道の東部にある架空の村であるが、「湧別川」が記載しているところから推測すると、遠軽町か湧別町のあたりにある架空の村と推測できる。その村に東京から引っ越してきた女性。元々東京では商社のOLとして働いていたのだが、ふるさとの地が忘れられなかったのか、それとも何か思うところがあるのか、本書ではつかめなかった。しか […]

火山のふもとで

「火山」と言えば、昨年の御嶽山、先月には口永良部島の噴火、箱根山の活発化など火山に関する出来事が数多くある。そういった状況の中で火山のふもとにて暮らしている方々は気が気では無いのかもしれない。 本書は浅間山のふもとにある山荘を舞台にした、ある若き建築家が恋をしながらも、設計コンペに向けた仕事との戦いを描いている。本書の舞台である浅間山は群馬県と長野県の間に位置しており、活火山で非常に有名である。本 […]

年中行事を五感で味わう

あけましておめでとうございます。本年も「蔵前トラックⅢ」をよろしくお願い申しあげます。早速新年最初の本を紹介いたします。 年中行事の始まりは元旦から始まる。その後から春夏秋冬と四季折々の年中行事が行われる。四季折々なところも日本の風習の良さであり、なおかつ、本書のタイトルにもあるとおり「五感」でもって味わうことができることもまた、日本文化の良さとして現れている。今日は年はじめの元日だからでこそ、1 […]

「正月」のない歳時記

あけましておめでとうございます。 2014年「蔵前トラックⅢ」、及び「蔵前トラック アーカイブ」をよろしくお願い申し上げます。 さて最初の書評はこちらです。 「正月」にちなんで本書を取り上げてみるのだが、本書は近代における「季語」を取り入れることにある。その「季語」は俳句では重要な役割を持っているのだが、春夏秋冬、そして新年とどのような枠組みなのだろうか、本書は出版社である「木阿弥書店」の70周年 […]

あした・ゆたかに・なあれ―パパの休日の経済学

(株)オトバンク 上田様より献本御礼。 毎日経済のニュースが絶えない。ここ最近では「円高」が叫ばれており、政府もようやく重い腰を上げ、為替介入に踏み切った。介入は当面続けるそうだが効果は果たしてどのようにもたらすのだろうか。 それはさておき、私たちサラリーマンは「経済」のことについて、身近なものでは、給料や家計、さらには消費といった所までしか知らない人が多く、「経済」のニュースが流れてきても実感が […]

遠藤ケイの田舎暮らしは愉快だ!

最近ではあまり出てこなくなったが「田舎暮らし」の良さやスローライフにまつわる情報番組がある。有名どころで言えば「ザ!鉄腕!DASH!!」の「DASH村」であろう。都会の喧騒のなかで疲れた体を癒しながら、自然と戯れ、本来の春夏秋冬を肌身で感じ、愉しむことができることが田舎暮らしの利点である。ちょっと前に書いた「シンプル族」についても田舎暮らしの雰囲気を作り出すことからちょっと似ているような気がする。 […]

夏がくれば思い出す―評伝 中田喜直

春が過ぎ、もうすぐ梅雨の時期が始まる。その梅雨の時期が過ぎれば厳しい夏である。 夏というと子供たちは少し長い夏休みである。 本書のタイトルに覚えがあるだろうか。誰もが一度は口ずさんだ歌詞。 そう、「夏の思い出」である。 この作曲者はというと中田喜直。数多くの歌を作曲した作曲家である。特に合唱に携わった人であれば何度もこの方の曲を歌っただろう。この方を名を知らなくても「ちいさい秋見つけた」や「めだか […]