失敗学実践講義 だから失敗は繰り返される

本書は様々な失敗を分析し、それを今後どのようにして対処するかということを説いた1冊である。ちなみに本書では失敗を分析するために「原因」「行動」「結果」の3つのまんだらを用いている。枝葉状に原因が事細かに書かれているため何が原因かという深層まで突き詰められるところがいい。

その例示をしているのが「六本木ヒルズの大型回転ドア事故」「日本航空の連続トラブル」「JR福知山線脱線事故」「みずほ銀行システム障害・東証売買システム障害」「三菱自動車リコール隠し」「大手企業の火災事故」「JCO臨界事故」「H2Aロケット6号機の打ち上げ失敗」「JR羽越線脱線事故」の事例を挙げている。

ちなみに著者はこの失敗学を30年以上行っており、6年前に「失敗学会」というものまで立ち上げたという。さらに「失敗知識データベース」というのがネット上であるというのにも驚いた。なんと1160件もの事例(9月28日現在)があるため、これは原因分析には非常に持ってこいである。成功例も勉強したほうがいいが、それ以上に失敗を学びそれをどのように成功に結び付けたほうがいいのか、そして事件が起こらないように、もし事件が起きても最小限にとどめるにはどうすればいいのかという予防策の材料にもなるので本書も良書であり、さらにこのデータベースを最大限に活用すれば本書やこのネットの価値は見いだせるだろう。