「辛い飴」というと昔にハッカの飴をなめたことを思い出す。飴玉の缶には必ずと言っても良いほど入っていた。あまりにも辛くて小さい頃はあまり食べられなかった。今となっては食べられるのだが、ハッカの飴自体あまり見かけなくなった。時代は変わったものだとつくづく思ってしまう。
私事はさておき、本書は「永見緋太郎の事件簿」シリーズの第二弾の作品である。題目としては本書のタイトルにもなっている「辛い飴」を始め、「苦い水」「酸っぱい酒」「甘い土」「塩っぱい球」「渋い夢」「淡泊な毒」とある。「形容詞 + 名詞」のハーモニックが異様で、かつミステリアスな雰囲気を醸し出しているようである。
これまで読んだミステリーと大きく違う所は二つ、一つは形の見える所では「ジャズ」も主体の一つとして入っている。各賞の章末には「参考レコード」があり、章に合わせた曲を紹介している。その曲を聴きながら本書を読んでいくと味わいが一段も二段も違ってくるのかもしれない。
もう一つは自らの感覚なのだが「泥臭さ」と言った方が良いのだろうか、「古臭さ」と言う風に表現したらよいのだろうか、どちらにせよ「臭さ」と言うのを漂わせている。しかしそれらはジャズを引き立たせるため、そう良い意味での「臭さ」が漂わせている。ミステリーとだけ遭って「きな臭い」というのもある。
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