消費税をどうするか―再分配と負担の視点から

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消費税をどうするか―再分配と負担の視点から (岩波新書) 消費税をどうするか―再分配と負担の視点から (岩波新書)
小此木 潔

岩波書店  2009-09-18
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民主党は今国会において消費税の引き上げを見送った。民主党の掲げるマニフェストを遂行するためにはかなりの財源を確保しなければならない。最近までメディアで騒がれていた「仕分け」も1兆2000億円であった。これからも財源確保のために様々なコストカットは行われるがそれだけでは賄えない可能性が高い。消費税引き上げも視野に入れる必要があるのではないだろうか。
そもそも日本で消費税が導入されたのは1989年、竹下登政権の時である。本書は偶然なのか導入されて20年の節目である。
節目だからでこそ増税・据え置きの垣根を越えて消費税の在り方を考え直す必要に迫られたのではないだろうか。本書はそれを示しているのかもしれない。

第一章「世界経済危機を救う財政」
世界的に経済が混迷する今、政府は有効な策が出ていない現実がある。前の自民党政権では「定額給付金」を支給することを行ったが、経済的には付け焼刃にしかならなかった(それにもならなかったという声もある)。現在では財源を確保、さらには赤字国債削減のため民主党、財務省先導で「事業仕分け」を行い、念入りなコストカットを行ったが、これも予算編成上、あまり効果がなかったように見える。しかし来年度の予算編成はどのようになるのかは通常国会を観てみないと分からないというのもある。

第二章「赤字は誰の責任か」
無駄な公共事業により赤字国債が乱発し始めたのは80年代、中曽根政権以降である。それからというもの右肩上がりに増大していき、現在では800兆にも900兆にも上ると言われている。赤字は誰という特定はできないと言うほか無い。自民党政権下の時代は多かったが、細川・羽田といった非自民連立政権下でも赤字は膨れ上がっていた。では「景気」の責任かというとこれも経済の主幹をなす企業の努力が足りないということにも通じる。さらに政府の責任といえば、選挙で選んだ国民も同罪と考えられる。不特定多数、日本人全員が責任ありという答えに行き着く。

第三章「消費税の歴史が映すもの」
消費税が導入されたのは1989年、ちょうど平静には言った頃であるが、消費税導入の論議はそれよりも前から行われていた。しかし消費税が導入される、もしくは増税する前後で、経済が失速したり、政権与党が選挙で惨敗を喫するなどあたかも「パンドラの箱」のようなものと化している。消費税論議は行われるべきであると考えるが、その現状もはらんでいる。

第四章「貧困と格差をなくすには――所得再分配復活への道」
今度は「消費税論議」からはずれて「格差」というところについて書かれている。しかし消費税論議に間接的に関わるというのもある。「失われた10年(ないし15年)」のトンネルを抜け、「戦後最長の好景気」と呼ばれる時代に「格差」という言葉が出てき始めた。しかし「格差」は今に始まったことではなく、小林多喜二の「蟹工船」が上梓された時代も「格差」にあえいでいた時代があった。格差はなくなることはないが、もしなくなるとしたら、日本が社会主義国家や共産主義国家を辿るといっても過言ではない。資本主義社会である以上「格差」はつきものである。

第五章「欧米の税・財政に何を学ぶか」
日本の消費税は世界的に比べると低く、欧米各国の消費税を比べると足元にも及ばない。しかしそれらの国々は「小さな政府」、つまり「福祉国家」として確立しているため、この税制は可能である(その反面、暴行事件が頻発している現状がある)。では日本は増税を行うことによって欧米各国のように税率を上げることで福祉国家となるかというと首をかしげてしまう。日本の借金が増大し、それを返すためには消費税増税の論議もなくてはならない(ただし増税をするとはいっていない)。

第六章「危機を超える税制改革のために」
日本の借金は雪だるま式のように膨れ上がり、今年の赤字国債発行額が53兆円を超えた。横ばい、右肩下がりに入りそうになった矢先の出来ことであり、累積で1000兆円に届きそうな勢いである。その中で全て返すとなると、50年にも100年にもかかってしまうほどの額である。また年金のことにおいても、福祉においても、経済的な課題が残っているために、累積国債を減らすということも考える必要があると考えると、税制に関して消費税を含め大きく見直す必要があるのではないかと考える。

消費税をどうするかの論議は、今に始まったことではなく、消費税が導入される前後から長らく続いていた。しかし論議ばかり進んでしまい、先延ばしになってしまう。「ウィーン会議」の状態が進んでいるが、そこからどのように脱するか、政権与党の民主党に課せられた試金石の一つではないだろうか。

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