機械男

SF

本書のタイトルである「機械男」を見ると。「電車男」「電波男」「聖書男」に続いて新しい「男」が誕生したのか、という邪推が出てきてしまう。しかも本書が出版されたのが2013年。何とも「男」シリーズの最新作と言っても過言ではないとも考えられる。

妄想はここまでにしておいて、本書は「機械」しか愛せない男の生き様を描いている。そう考えていくと二次元しか愛せない男の恋を描いた「電車男」にも通ずるものがあるのかもしれないが、それとは違い、自分自身に機械の「脚」を作り、職場の事故で失った片足に使った。自分自身にも機械をつけることができ、さらに技術者としても大規模な機械開発のプロジェクトに入ることになった。順風満帆に見えたのだが、その背景には世にも恐ろしい「機械化兵士」の開発まで携わってしまった。そこから「SF」とは一線を画したサスペンスが始まるというものである。

男の「オタク」ぶりは「電車男」を遙かに上回るほどの熱狂ぶりなのだが、それにつけ込まれたという隙の甘さが、最終的には取り返しがつくのだが、恐ろしいことになろうとは思わなかったのかもしれない。ただ、直接的な感想としてはスリリングもあれば、男が機械の脚をつけたときの愉悦が何とも深く表現されていた。その両方の要素があって、緩急が出てきて面白かった。

実は本書を原作とした映画化が決まったのだという。具体的なタイトル、キャスト、上映日に関しては今のところ不明だが期待が持てる。ただし私は映画をあまり観ないのだが。