シェーの時代―「おそ松くん」と昭和こども社会

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10月からTVアニメ「おそ松さん」が放送されており、賛否両論がありながらも、大人気を誇っている。第1話から予想を遥か斜めを行く展開が魅力的である。そもそも「おそ松さん」が放映されたのは原作者である故・赤塚不二夫氏が生誕80周年を記念したところにある。

そのこともあって本書というのもちょっと変であるのだが、そもそも「おそ松さん」の原作と言える「おそ松くん」はどのような時代背景があり、どういったキャラクターがあり、なおかつ「おそ松くん」が連載され、放映されたときにどのような影響を及ぼしたいのか、本書は「おそ松くん」の漫画作品と社会の関連性について考察を行っている。

第一章「「おそ松くん」が生まれた時代」
「おそ松くん」が初めて日の目を見たのは1962年(昭和37年)4月の初頭である。当初は週刊少年サンデーに連載されたが、雑誌の事情などが相まって「別冊少年サンデー」「ボーイズライフ」「週刊少年キング」「コミックボンボン」と連載誌を転々とした経緯がある。
本章ではその週刊少年サンデーにて連載し始めた頃の社会背景を新聞とともに取り上げ、比較を行っている。この頃は冷戦の真っ只中であったのだが、その中でも核実験が行われるなど暗い話題も数多くあった。

第二章「松野家の全貌」
「おそ松さん」の時こそ二階建ての住宅だったのだが、「おそ松くん」の時は平屋の一戸建てだった。その中で六つ子がどのように暮らしていたのか、そして親はどのようにして働き、なおかつ世間体を渡り歩いたのかを分析している。もちろん六つ子のキャラクターについても同様に本章にて分析している。

第三章「漫画とテレビと歌謡曲」
今となっては「J-POP」と言われているが、これは90年代に入ってから言われたことである。それ以前は「歌謡曲」と呼ばれた。おそ松くんが連載されたときの歌謡曲、それも流行歌がどのようなものがあるのか比較しながら取り上げているが、多くはコミックソングや正統派の歌謡曲、さらには演歌まで様々ある。当初の著作権は比較的緩かったせいか、おそ松くんのセリフの中にも、流行歌の一節が歌われた箇所も存在しており、本章でも取り上げられている。

第四章「名優チビ太の考察」
「おそ松くん」と言えば六つ子の印象が強いが、脇役と呼ばれる存在なくして「おそ松くん」は語れない。本章から第六章まではそういったキャラクターを取り上げているが、その筆頭としてチビ太を上げている。次章にて取り上げるイヤミと一緒にいる印象が強いのだが、意外にも単独で出てくることも少なくなく、イタズラをしたり、ほのかな恋を紡いだりすることがある。そのチビ太がどのようにしてできたのか、その成り立ちから役割を考察している。

第五章「怪優イヤミとシェーの時代」
本章のタイトルに「怪優」とあるが、イヤミは様々なキャラクターに扮する。もちろん「イヤミ」という名だけに嫌みの強い男だったのだが(元々のモチーフは同じようなキャラで売っていたトニー谷と言われている)、徐々に六つ子思いの部分も出てき始めたという。さらにイヤミと言えば「シェー」がある。その「シェー」がいかにして誕生したのか取り上げているとともに、「シェー」が出始めた頃は、当時の「流行語」や「流行ギャグ」とも言われるようになり、様々な人・キャラクターがやるようになった。

第六章「脇役たちの横顔」
もちろん「おそ松くん」に出てくる脇役はイヤミやチビ太ばかりではない。ハタ坊やデカパン、さらにはダヨーンのおじさんも出てくる。それらのキャラクターはどのような役割を担っていたのか、そのことについて考察を行っている。

第七章「漫画「おそ松くん」から派生したもの」
「おそ松くん」の影響を与えた、あるいは受けた作品もすくなくない。その一つとして本章ではおそ松くんと同時期に連載し、ドラマ・アニメ化された森田拳次氏作の「丸出だめ夫」を取り上げている。またおそ松くんのテレビアニメ化に伴う影響も本章にて言及している。

第八章「昭和こどもカルチャー」
「おそ松くん」の存在が子どもの文化にどのような影響を与えたか、当時の子どもの遊びとともに考察を行い、なおかつ子どもの存在についても取り上げている。

「おそ松くん」は連載、さらにはテレビアニメ放映時から社会的な影響を与えており、マンガやアニメを知らない方々でもそれを知っている方も少なくなくなった。その「おそ松くん」が長い時を経て「おそ松さん」となり、どのような影響をもたらすのか、期待したいところである。

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