ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

ブルー・オーシャン戦略に関する本がたくさん出ている。本書はその原点となった1冊である。ちなみにこの「ブルー・オーシャン」とは競争原理が全くない未開拓市場のことであり、逆に競争原理により血みどろの戦いが繰り広げられていることを「レッド・オーシャン」と呼ばれる。

ではこの「ブルー・オーシャン」をどのように見つけるのか、そしてどのようにして戦略を立てて、どのように実行すればいいのかについて書かれている。

第1部は「ブルー・オーシャン戦略とは」
ここでは「ブルー・オーシャン」の利益について、そしてリスクの低さについて書かれているが一つだけ釘を刺しておきたいのがいくら「ブルー・オーシャン」だから非常にいいからと言って、これが本当に市場で迎合されるのか。もし迎合されればリスクはそれほど冒すことなく利益を上げることはできるが、それができなければ閑古鳥となり利益は上がらないということ。もっと言うとそれに対する成功の可能性は「レッド・オーシャン」よりも低いということを考えると戦略といったものが非常に大事になってくる。これは第2・3部について詳しく書かれているのでここでは割愛する。

第2部は「ブルー・オーシャン戦略を策定する」
「ブルー・オーシャン」が見つかれば今度は戦略の策定である。ここで誤るとせっかくの「ブルー・オーシャン戦略」が台無しになってしまう。日本でも「QBハウス」が取り上げられている。理容業界であるが「1,000円10分」で差別化を図り、見事に業界を一気に変えさせた。これまでは高くても1,500円前後、しかもカットにシャンプーや髭剃りなど結構時間のかかるものだった。しかし「QBハウス」はカットのみでわずか10分間、さらに切ったときの髪を残さないように「エアーウォッシャー・システム」も導入。さらに待ち時間がわかるような工夫までされており、たちまち人気急上昇。それをまねたライバル店もできたがこの構図はいまだに変わっておらずこの戦略の成功例と言えるだろう。

話を戻す。「ブルー・オーシャン戦略」にはライバルがない。それを考えるとライバルとの差というのが分からなくなる。もっと言うと需要はどのようなものかというのも分からないので予算の立てようがない。そこでそれに近い業界とどのように差をつけるのかそしてどのような客層を対象にするのかということなど新たな顧客の掘り出しというのも大事になる。

第3部は「ブルー・オーシャン戦略を実行する」
さて次は実行することになるが、そのうえで戦略の修正やハードルの乗り越え方について書かれている。そして成功に向けてプロセスが大事だということも書かれている。それを大事にすればおのずと成功の道は開けるだろうという。

最後の巻末には「ブルー・オーシャン」で成功した企業を挙げている。

本書は戦略を立てるにあたり「ブルー・オーシャン戦略」というのを提唱している。本書で上げられた例は「QBハウス」以外はすべて海外の企業であるため日本における「ブルー・オーシャン戦略の本」があるので後ほど読んでおきたい所である。