ひねり出す時間術―30分ジグザク仕事術

お金は平等にあるわけではないが、時間は誰でも24時間持っている。時間のある人は、その時間を有効に活用する。簡単に言えばお金で時間を買う。一方時間の使い方が下手な人は、時間でお金を買っている。前者になるべく巷では様々な時間術の本が立ち並んでいる。
本書は現役の文化放送プロデューサーが編み出した時間術を紹介している。

第一章「「人よりひと足早く」が時間を生む」
孫氏の兵法には「巧遅は拙速に如かず」という言葉がある。
日本人は仕事に限らず「速さ」というのを重宝する傾向がある。情報収集にしても、仕事の指示や考える時間を、トイレや電車に乗っている時間などの「隙間時間で使う具体論まである。
特に「○時五四分スタート」時間術はいかにも放送局のプロデューサーらしい時間管理術だなと思った。

第二章「集中すれば一日の時間が濃くなる」
私も考えているのが「どれだけ時間を使うか」ではなく、「限られた時間の中でどう使うか」というのを意識している。後者はすなわち「時間密度」という。
その時間密度を高めるために本章では「ワンクール」や「時間割」といった時間を区切って使うことを推奨している。

第三章「行き詰まったときの対処法」
仕事の中でも考えなくてはならないものもある。塾講をするには15分以上かけないとしている。確かにロダンの「考える人」のように1時間も2時間も熟考してでてくるものはきわめて少ない。
満点をねらわないことや、睡眠に至るまでかかれている。

第四章「時間を奪われないための頭にいい対処法」
時間泥棒は職場に限らず様々なところに存在する。それから回避するためには、距離を置くためにはどうしたらよいのかについて書かれている。
時間泥棒から回避する「時間術」であるが、言う言葉一つで時間泥棒に時間を奪われたりする事がある。例えば、
「あなたの都合に合わせます」
「ちょっといいかな?」
は自分のみならず、相手の時間を奪ってしまうことが多い。特に後者は仕事で集中しているときに他愛のない話で集中力を殺がれてしまい、話の後は集中できなかったりする。

第五章「他人の力で時間を節約する方法」
自分の仕事を自分の力で行うのは当たり前の話であるが、その中でも他人に振ることができるものもある。臼井由妃氏の「仕事の8割は人に任せなさい」よろしく、他人に仕事を与えながら、「自分にしかできない」仕事に集中することこそ、時間節約の大きなカギとなる。

第六章「夢を持てば「ない時間」をひねり出せる」
夢を持つことも一つの方法であるとしている。しかし「夢」と「時間」という言葉は結びつきにくいが、例えば夢に向かって邁進している時間と、自分の仕事を淡々と進めている時間や夢を叶えるためにどれくらい時間が必要なのかがわかるためである。

時間管理術は様々なものがあるが、特に印象的だったのが第一章の「○時五四分」である。私はあまりTVやラジオを聞くことは無いのだが、新聞のTV欄をみると最近のバラエティ番組は54分にスタートをするものが多い。それを逆手にとって54分に始めてみてはという考えがあるのだろうかというのが私の頭の中にはある。