「アライアンス」シリーズで有名であり、現在BBT大学で教授を勤めている平野敦士カール氏が前書の中で語っていた「アライアンス・ランチ」があるが、本書はそれに特化した一冊である。
それを語る前に「アライアンス」とは何かについて書く必要がある。「アライアンス」とは、
「連合。提携。同盟。」(goo辞書より)
とある。これまでは仕事やブランディング、人間関係についてのところで簡単に説明されていたのみであったが本書は、「アライアンス・ランチ」の技法、心構え、ガイドマップに至るまで網羅されている。
第1章「「アライアンス・ランチ」はなぜ必要か」
昼休み1時間の時間帯で行われる「アライアンス・ランチ」はリラックスした雰囲気の中で「リアル・コミュニケーション」を行うことによって、短い時間帯で最大の情報や人脈を得ることができるという。
新聞やTV、インターネットという媒体では得ることのできない、リアルで新鮮で、かつ真新しい情報を得るのにも役立つ。
第2章「「アライアンス・ランチ」はどんな人とするべきか」
前章で「アライアンス・ランチ」の有用性は分かったが、では実際に誰から誘ったらよいのか、迷う人も多いことだろう。そのためにまずは「半径3メートル」の人を誘うことを薦めている。いきなり面識のない人からではなく仲間内や取引先から始めてみることによって、すんなり入り口に入っていけるようにする、それから段階を踏み続けていくことが大切である。
第3章「「ぜひ会いたい」と思われる「アライアンス・ランチ」の誘い方」
場数を踏んでいったら、いよいよ今度は「会いたい人」に対して誘ってみる。しかしどのようにやったらよいのか。
ここで本章である。「会いたい人」の中にはエグゼクティブクラスの人もおり、その人たちは1分・1時間の時間も暇がないほどである。
そのため相手を誘うタイミングとして「1ヶ月前」というのを目安にしている。そしてお誘いのメールについても書き方から署名欄に至るまで細かくアドバイスをしている。
第4章「欠点をカバーしてくれる「アライアンス・ランチの名店」の選び方」
誘う側にたてば「店選び」や、場合によっては「メニューの選定」も気を遣う必要がある。相手側に対しても気遣う必要があるが、どのような店を選べばよいのか、ここでも迷うときがある。しかし本書の巻末に「ビジネスに使える名店60」を掲載している。
第5章「いざ当日!「アライアンス・ランチ」の作法」
ここでは当日の振る舞い、手みやげ、コミュニケーションについてのやり方について紹介している。
その中で特に印象的だったのが「MECE(ミッシー)」である。「MECE(Mutually Exclusive and Collective Exhaustive)」は元々マッキンゼーが生み出した思考ツールのことであり、クライアントの抱える問題を、いかに解決をしていくのかについて使われる。マッキンゼーには問題解決のプロセスについて「MECE」に則っているかをみる機関まであると言われている。
わずか1時間の時間で効率的に人脈を形成しながらも、情報を引き出せるのかと言うのがよくわかる。本書の前に何度か私もそういった形式のランチはやったことはあり、得られるものも多かった。本書は初心者でも、経験者でもさらに実践できることの多い一冊と言える。
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