国家の多くは「資本主義」を取り入れており、その社会のことを「資本主義社会」とも呼ばれている。しかしながら「資本主義」と言っても、在り方は日々刻々と変わって言っている。その「変わり方」は現在どのような社会があり、その先にどのような「出口」があるのか、本書ではそのことについて取り上げている。
第一章「この社会はどんな社会なのか―「右/左」の対立の本質」
政治や経済などの思想において必ずつきまとうのが「右」と「左」の対立である。特に政治思想の中では「保守」「革新」と言ったものがあるのだが、ここ最近では「革新」というよりも「リベラル」といった言葉が主流となっている。かたちは変わっているとは言え、対立構造自体は変わっていない。その構造自体は次章でも述べる「ロック」と「ルソー」の2人の思想の違いにある。
第二章「いまはどんな時代なのか―「ロック/ルソー」で辿る近現代史」
ジョン・ロックとジャン・ジャック・ルソーの2人の違いと2人の提唱した思想がどのような変遷を辿っていったのか、歴史的に紐解いている。特にロックとルソーの違いとしては大きく分けて「自由」「平等」「政府」の在り方が異なっており、なおかつ政治・社会・国家そのものの思想の在り方について、あたかも前章で取り上げた「右/左」に通じていいる。
第三章「いま社会で何が起きているのか―ネオ・リベラリズムの「必然性」」
そもそも「リベラリズム(「リベラル」とも呼ばれる)」は「自由主義」であり、資本主義の一種でありつつ、経済や思想、さらには社会的な要素についての自由と平等な権利に基いたしそうである。
そのリベラリズムを新しい概念化したものとして本章にて取り上げる「ネオ・リベラリズム」が挙げられる。直訳すると「新自由主義」であるが、自由主義・市場原理主義であるのだが、自己責任を基軸にしつつも、福祉などを大切にする「小さな政府」も推進すると言ったものである。日本でも高度経済成長期に取り入れられ、なおかつアメリカでも1970年代のスタグフレーションの対策として「レーガノミックス」が提唱されたのだが、これこそネオ・リベラリズムへの推進だった。
第四章「資本主義社会の「マトリックス」を超えて」
新しい資本主義と言う概念自体は変わってくるとはいえ、著者に言わせると、概念の「マトリックス」の中に入っているのだという。そのマトリックスから脱すること、さらには脱した後の資本主義の在り方はどう変わるべきなのか、本章ではその展望について取り上げている。
資本主義は長らく続いている一方で、資本主義の中でも政府や経済、社会の変化と共に、枝葉の如く新しい概念が生まれている。もっとも資本主義にて派生した概念を取り上げるだけでもかなり多くなってきており、全部を語るにしても非常に難しいものがある。では資本主義のあり方はどう変わってきて、終着点、もとい出口はどこにあるのか、その未来は誰にも分からない。
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