ダイヤモンド社 市川様より献本御礼
「情報は1冊のノートにまとめなさい」「読書は1冊のノートにまとめなさい」など「ノート」に関するスペシャリストの「ノート本」の続編、と言うより集大成と言った方が正しいように思える。タイトルも「人生」とこれまでとは違いスケールがあまりにも大きいからである。
「人生の足跡」というと色々ある。代表的な物では「アルバム」だろう。小さい頃から現在に至るまで自分がどのような姿だったのかについて客観的に見ることができる。それを元に思い出話にも花が咲く。リスクとしては年末なので大掃除や引っ越しの時にそれで手が止まってしまうと言うことくらいだろう。
思い出は別にアルバムだけではなく、本書のようにノートにするというのも良い。最近ではiPadなどペーパーレスになるようなツールは沢山あるが、本書はノートを駆使して人生における思い出を「記録」するかについての技術を伝授した一冊である。
第1章「ただ行動を記録することの意外な結末」
何らかの目標をもつ事、あるいは記録に関して意味のある物であればこれ以上のことはない。しかし難の理由もなく記録をすることだけでも、大きな効果を生み出すことができる。
ノートは記録のデータベース化することができる。さらには出来事を記録するばかりではなく、自分の考えたこと、思いつき、さらには感情もノートに記録することができる。人間の記憶は有限であるが、とっかかりを記録していくことによって、記録で記憶を呼び覚ますことも可能になる。
第2章「ノートを自分の分身にする」
ここではノートの使い方と言うよりもノートの選び方が中心となる。これまではノートの使い方が主になることが多かったのだが、ノートをどう選ぶかについて言及したのはおそらく初めてなのかもしれない。ノートとは言っても様々な種類があり、ノート術でもA6ノート専用のもの、あるいはモレスキンノート専用のものもある。ノートはそのものを購入する楽しさもあり、かつ記録する楽しさを得ることができるが、何よりも記録したものを「読み返す」事によって新たな発見を生むことができる。
第3章「どうやってノートに残すか」
さてノートに「記録」する良さはわかったが「どうやって」、そして「何を」について記されている。
「どうやって」はアルバムではできない因果関係についてを記すことができ、「何を」では写真やスタンプなど技術やヴァリエーションを自分流にカスタマイズをすることができる。
第4章「何をノートに残すか」
「人生」と一括りにしても様々なものがある。予定、実際に起こったこと、旅行先、勉強録、読書録、食事録・・・、日常から非日常的なことに至るまで枚挙に暇がないほどある。そのうち何を残したらよいのか、どこから手を残したらよいのかわからなくなってしまう。
本章では手始めとして「就寝・起床時間」、飲み食いしたものを記録することを記録すると良いとしている。
それを最低限としてイベントやニュース、行動録と広げていくが、「すべて記録をする」ことを意識する必要がない。してしまうと「記録」に関して気疲れを起こしてしまい、三日坊主になる原因になってしまうからである。
第5章「どう継続し、読み返し、活用するか」
本書の主軸は「ノートを記録」するだけではない。「ノートを記録し、読み返す」ことを主軸に置いている。自らの行動やイベントを記録することによってその行動での反省点や成果が形になって見えてくる。いわゆる「見える化」を実現することができる。
とりわけ本章では「読み返す」ことに徳化しているのだが、それも「日次」「週次」「代替わり」とある程度決めた状態で読み返すことを進めている。これは前書である「情報は一冊のノートにまとめなさい」など奥野氏の著書には当たり前というほど書かれている。
以前は情報や読書といったものに徳化したものであるが、本書は「人生」、自らの思い出をノートにすることで、たとえ自らの記憶が消えてしまったとしても、「記録」としてあしあとを読み返すことができる。「記録は記憶を呼び覚ますための起爆剤」とするならば、記録は大事と言える。本書はその「記録」をする重要性、とそれを行う楽しさというのを兼ね合わせた一冊と言える。
コメント